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制服と割烹着(夕子と昌幸・青春篇) 第13話


 「なぁ夕子、たまには昌幸くん連れておいでや。長いこと来てないやんか。」

「そうなんやけど…私はお店に入ってるし、社会人なんやから、お客さんとして来たらええんやけどな、まだ酒が飲まれへんもんやから。今が一番、中途半端なんや。」

「お酒は仕方ないけど、御飯だけでもええやんか…あの食べっぷりが好きやのに。」

「お母ちゃんも結局はマサのファンに成りきってしもうたな。あのアホ、うちの予想をはるかに超える人気モンやったんや。」

「予想通りとちゃうのんか?」

「みんなそう言うんや…うちの評価だけが低いんが不思議でたまらんわ。」「まぁ、あいつ誕生日が4月で早いから、半年もしたら飲めるようになる。そうなったら来るなって言うても来よるわ。」「もちろん、御飯ぐらい食べに来るよう言うとくけど…お母ちゃんが『あの食べっぷりが好きや』って言うてた事を聞いたら、明日にでも飛んできよるで。」

「是非、お願いしますわ。けど私は、夕子の食べっぷりも大好きなんやで……」「その隅っこに二人並んで食べる姿が見られんようになって、寂しいんですわ。」

「そうやなぁ…これからは滅多に無いやろなぁ……」「マサと二人、あそこに座って…お母ちゃんには数えきれんほどご馳走になったわ。あんまり思い出に浸るようなタイプや無いんやけど、ほんま懐かしいわ。」

「今から思うと『あっ』という間でしたけど、ほんまに二人の成長が嬉しくて楽しみでしたんや…思い通り、立派に育ってくれました。」

「いややわ~お母ちゃん、しんみりして来るやんか……」

「夕子はしんみりせんでも宜しい。あんたは懐かしいだけかも知れんけどなぁ、なんべんもハラハラドキドキさせられて、いやって云うほど恥ずかしい思いさせられて…そんな苦労からそろそろ解放されると思うと、そら感慨深いもんが在りますんや。」

「お母ちゃん…うちが今、ハラハラドキドキしてるんやけど……」

「ふふふっ……自分の子供の事となるとそんなモンや在りませんで……」「藤川さんとこも大変やったと思いますわ…きっと。」「けどあんたを超えるためには、昌幸くんが3人必要やからね。」

「なんぼなんでも、それは無いやろ?」

「やっぱり、3人では足りませんか?」

「…うちの実績って、そんなに凄い?」

「今日の仕込みはほとんど終わりましたけど、この際やから、お店休んで、一つずつ思い出してみよか? 明日の朝までには終わると思いますけど?」

「お母ちゃん、もしかして…うちを生んだ事を後悔してるんとちゃうやろなぁ?」

「そんなん思うた事も在りませんわ。」「そうは云うても、お父さんと一緒になった時点で覚悟はしてましたけどな、妊娠してだんだん大きくなるお腹を見てたら、ふと恐竜の卵に見える時が在りましたんや…出て来たんは怪獣でしたわ。」

「それって、後悔してるようにしか聞こえへんやんか。」

「思うた事も無いって言うたやないの。期待や楽しみの方がずっとずっと大きいんやで。その期待と楽しみが希望やんか。夕子あんたは、私とお父さんの希望そのものなんやから、あんたこそ後悔するような事をしたら、その時こそ私とお父さんが悔やんで涙する時なんやで…覚えといてや。」

「うん…『ズン』と来たわ。」「もし、うちが将来、もっと凄い怪獣を生んだとしても、それは希望になってくれるんやな?」

「そんなん、あんたら夫婦の問題やんか。」「私らにとっては、可愛いだけの孫なんやから、甘やかすだけ甘やかして猫可愛がりするに決まってるやんか。」

「お母ちゃんって、うちなんか足元にも及ばんような怪獣やったんとちゃうか?」

「アホな事言わんといて。私は、あんたとは違うて、ままごとやお人形の好きな女の子でしたんや。」

「どうも怪しいんや…今となっては、お母ちゃんは、お祖父ちゃんもお婆ちゃんも亡くなって確かめようが無いからなぁ。お父ちゃんに聞いてもあやふやに誤魔化しよるんは、お母ちゃんがきつい口止めしてるからやと、うちは睨んでるんやけど……」

「もう、しょうも無い事考えんと、この頃は料理の腕も格段に進歩してきたんやから、そっちの方に力を注いだらええやんか。」

「お父ちゃんの遺伝子だけで、うちみたいなんが生まれるかなぁ、突然変異でもあるまいし……」

「何を言うてるの、そのまんま、世間では私と夕子を見比べて、『突然変異』やって言われてるやんか。」

「突然変異なんか実際には起こらへんやろ。」

「起きましたんや、それが。」

「もしもの話やけど、うちとマサの子供に突然変異が起きたら…考えただけでも恐ろしいもんがあるで。」

「せやから、そんなんあんたら夫婦の問題やって言うたやろ。私らにはただ可愛らしいだけの孫ですんや。」

「うちの場合……マサと結婚なんかしたらアカン気がしてきたわ。」

「心にも無い事言わんとき。素直になったらええんや。幸せって云うのは『普通と平凡』って事なんやで…夕子もええ加減気付いたらどうや。」

「うちとマサが普通と平凡やろか…?」

「・・・・・・」

「そない素直に詰まらんでも……」

「ええか、あんたらは普通でも平凡でも無いですけど…背伸びをせんと、変った事を望まへんかったら、あんたらが一緒になるのは…普通で平凡な事とちゃいますか。」


 「・・・・・・」 

「そない素直に詰まらんでも……」


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読み易い文章〜♪

スーッと!引き込まれる文書ですよね!私は好きです。
優しい感じの関西弁??? 私は静岡の浜松なのですが・・・東京が長かったためか、浜松なまりが話せません。結構乱暴な言葉!でも、耳に心地いい〜♪ お話をよんでいて、凄くここちよい訛に引き込まれます。温かい感じが凄く素敵!

リンクをはってくださっていたのですね。こちらもリンクさせていただきますね!では、では、よろしく!

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