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制服と割烹着(夕子と昌幸・青春篇) 第13話

「なぁ…お母ちゃん、年末か年始かは決まってないんやけど、うちとマサとの後輩で、店を貸し切る事って出来るやろか…?」

  「それは構いませんけど、日曜日とは違いますのんか…?」

 「そうやねん…。やっぱり、みんな土曜日が都合ええみたいなんや…具合悪いやろか…?」

「今までは無かった事ですけど…常連さんには、前もってお知らせが出来るんやから…構いませんで。」                 「これからは、夕子の時代やって…いつも言うてる通りですから…。」

  「ほんま~!有難う!……みんな喜ぶわ。」

 「それで、何人ぐらいの集まりに成る予定なんですか…?」

 「せやなぁ…30人…以上には成ると思うんやけど…。」

「それは大変ですやんか…… 席は、無理やりでもなんとか成るかもしれませんけど…料理が用意出来ますやろか…?」         「私には想像もつきませんわ… あんたが、段取りせんとあきませんで。」

   「うん、人数が決まったら…計算してみる。」

「男女の差は在っても、全員が体育会系の集まりですやろ…?」                                         「おそらく、家の鍋なんかも使わんと…間に合わんと思いますわ…。」                                         「それとは別に…なぁ夕子、たまには昌幸くん連れておいでや……長いこと来てないやんか。」

「そうなんやけど…私はお店に入ってるし…社会人なんやから、お客さんとして来たらええんやけどな……。」                     「何と言うても…まだ酒が飲まれへんもんやから… 今が一番、中途半端なんや。」

 「お酒は仕方ないけど、御飯だけでもええんか… あの食べっぷりが好きやのに…。」

「お母ちゃんも、結局は…マサのファンに成りきってしもうたなぁ……。」                                       「あのアホ、うちの予想をはるかに超える人気モンやったんや…。」

  「予想通りやった…の間違いと…ちゃうのんか…?」

「み~んな、そう言うんや…うちの評価だけが低いと云うのが不思議でたまらんわ。」                               「まぁ、あいつ誕生日が4月で早いから…半年もしたら飲めるようになる… そうなったら来るなって言うても…来よるわ。」     「もちろん、御飯ぐらいは食べに来るように言うとくけど…お母ちゃんが…『あの食べっぷりが好き…』って…言うてた事を知ったら…明日にでも飛んできよると思うわ。」

 「是非、お願いしますわ……けど私は、夕子の食べっぷりも大好きなんやで……。」                             「その隅っこに、二人並んで食べてる姿が見られんようになって……実のところ…寂しいんですわ。」

  「そうやなぁ…これからは、滅多に無いやろなぁ……。」                                              「マサと二人、あそこに座って……お母ちゃんには、数えきれんほどご馳走になったなぁ……。」                      「うちの場合、あんまり思い出に浸るようなタイプや無いんやけど……ほんま懐かしいわ。」

「今から思うと…『あっ』という間でしたけど…ほんまに、二人の成長が嬉しくて…楽しみでしたんや……。」                      「…その楽しみは……思い通り…立派に育ってくれました…。」

  「いややわ~~ お母ちゃん…しんみりして来るやんか……。」

「夕子は、しんみりせんでも宜しい…あんたは、懐かしいだけかも知れんけどなぁ…なんべんもハラハラドキドキさせられて…。」   「…いやって云うほど、恥ずかしい思いもさせられて………」                                           「そんな苦労から、解放されると思うだけで…そら感慨深いもんが在りますんや…。」

  「お母ちゃん…うちが今、結構…ハラハラドキドキしてるんやけど……。」

 「ふふふっ……これが、自分の子供の事となると…そんなモンや在りませんで~~。」                             「藤川さんとこも、大変やったと思いますわ…きっと。」「けど、あんたを超えるためには、昌幸くんが…5人は必要やからね。」

  「お母ちゃん…なんぼなんでも…それは無いやろ…?」

 「やっぱりなぁ…5人では足りませんやろか…?…7…8………。」

  「なぁ……うちの実績って、そんなに凄い……?」

「今日の仕込みは…ほとんど終わりました……けど、そんな事は…どないでも出来ます………。」                      「この際やから…お店休んで、一つずつ思い出してみよか…?明日の朝までには終わると…思いますけど……?」

 「お母ちゃん…もしかして……うちを生んだ事を…後悔してるんと違うやろなぁ…?」

「そんなん思うた事も在りませんわ…けど、そうは云うても、お父さんと一緒になった時点で…少しは覚悟してました……。」 
「妊娠して、だんだん大きくなるお腹を見てたら…ふと恐竜の卵に見える時が在りましてなぁ…出て来たんは…怪獣でしたわ。」

  「…それって、後悔してるようにしか聞こえへんやんか…。」

「思うた事も無いって言うたやろ…。期待や楽しみの方が…ずっとずっと大きいんやで。その期待と楽しみが…【希望】やんか。」    「夕子あんたは…私とお父さんの【希望】そのものなんやから、あんたこそ…後悔するような事をしたら…その時こそ私とお父さんが悔やんで涙する時なんやで…覚えといてや。」

「うん…『ズン』と来たわ。」「もし、うちが将来…もっと凄い怪獣を生んだとしても、それは希望になってくれるんやな…?」

  「そんなん知らん… それは、あんたら夫婦の問題やんか。」                                          「私らにとっては、可愛いだけの孫なんやから…甘やかすだけ甘やかして…猫可愛がりするに決まってるやんか。」

  「お母ちゃんって…うちなんか、足元にも及ばんような怪獣やったんとちゃうか…?」

 「アホな事言わんといて……私は、あんたとは違うて…ままごとや、お人形遊びが好きな…可憐な女の子でしたんや…。」

「どうも怪しいんや…今となっては、お母ちゃんは、お祖父ちゃんもお婆ちゃんも亡くなって、確かめようが無いからなぁ。」       「お父ちゃんに聞いても、あやふやに誤魔化しよるんは…お母ちゃんが強く口止めしてるからやと…うちは睨んでる……。」

「もう、しょうも無い事考えんと…この頃は料理の腕も格段に進歩してきたんやから…そっちの方に力を注いだらええやんか。」

 「お父ちゃんの遺伝子だけで、うちみたいなんが生まれるかなぁ…突然変異でもあるまいし……。」

「何を言うてるの、そのまんまや…世間では、私と夕子を見比べた上で【突然変異】と呼ばれてるのは周知の事実やんか…。」

 「そんな周知の事実…聞いたことも無いわ…… そもそも…突然変異なんか…実際には起こらへんやろ…。」

  「起きましたんや…それが…。」

「もしもの話やけど、うちとマサの子供に…もしもの突然変異が起きたら…うわっ~考えただけでも…恐ろしいもんがあるで。」

「せやから、そんな事…あんたら夫婦だけの問題やって言いましたやろ… 私らには、ただ可愛らしいだけの…孫ですわ……。」

  「うちの場合……マサと結婚なんかしたら…アカン気がしてきたわ…。」

「心にも無い事言わんとき…素直になったらええんや。」                                                「幸せって云うのは【普通と平凡】って事なんやで……夕子もええ加減…気付いたらどうや…。」

  「…気付く前に…気になる事を思いついたわ………うちとマサが【普通と平凡】やろか……?」

  「……!?……?…!…」

  「…そない…素直に詰まらんでも………。」

「…確かに、あんたらは…普通でも平凡でも無いですけど……ええですか……。」                                「背伸びをせんと…特別な事を…望まんのやったら…あんたらが一緒になるのは…普通で平凡な事とちゃいますか。」

    「………………」 

  「そない素直に詰まらんでも………気持ちは決まってるくせに……。」

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読み易い文章〜♪

スーッと!引き込まれる文書ですよね!私は好きです。
優しい感じの関西弁??? 私は静岡の浜松なのですが・・・東京が長かったためか、浜松なまりが話せません。結構乱暴な言葉!でも、耳に心地いい〜♪ お話をよんでいて、凄くここちよい訛に引き込まれます。温かい感じが凄く素敵!

リンクをはってくださっていたのですね。こちらもリンクさせていただきますね!では、では、よろしく!
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