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制服と割烹着(夕子と昌幸・青春篇)  第11話

 「この頃は昼も忙しいなぁ…… 店としては有難いんやけど…うちが手伝えるのは、週に1回か、たまに2回がええとこや…。」     「お母ちゃん、一人では…大変やろ…?」

 「夕子のお陰で忙しくなったんも在りますけど、お昼時は季節も関係してるからねぇ……夏が近づくとお弁当が傷みやすいから… お客さんも増えますんや…仕方がない事なんやから…気にせんとき。」

「子供の頃にも聞いた覚えが在るわ…けど、今は冷蔵庫も冷房も当たり前になったのに、それでも影響が在るんやなぁ…。」

「そうやねぇ…夕子が言う事も分かりますけど、最近のお客さんの話を聞いてたら…仕事が忙しいもんやから、お昼に外へ出るのが…息抜きになるって云う人も居てるみたいですよ。」

  「なるほど、それは…分かる気がするなぁ……。」

 「それはそうと、専門学校には、夏休みなんか在りませんのやろ…?」

「そうやねん。 」                                                                        「半月近くは在るんやけど…まぁ、長いお盆休みって感じやなぁ。お盆は、お母ちゃんかて何日か休むんやろ…?」

「そうやねぇ…この辺りで働いてはるお客さんも、休みの人が多いですから、毎年、お盆と正月は息抜きさせてもらってますけども……3,4日ほど休みましょか?」

 「うちも、夏休みの間は…毎日手伝えるから、その間はお母ちゃんに…ノンビリさせてあげるわ。」

「ノンビリって…なぁ夕子、料理はまだまだ、お父さんと昌幸くんで実験してからで無いと……お店では使えませんで。」

 「実験……って?」「……その、実験で使うてる人型モルモットなんやけど…生意気に最近…文句を言いよるんや。」

  「私のとこへも助けを求めて来ましたで…。」

   「え~っ…ホンマ~?なんて言うてた…?」

 「食べさせるんは、自分自身で臨床実験をしてからにして欲しいと……【口頭の嘆願書】が届きましたわ。」

  「口頭の嘆願書なぁ……」「人型モルモットは、2体居てるんやけど…どっちが…?」

   「ひねた方が喋って…若い方は横でうなづいてましたけど……。」

  「そうか…わかった。」「なぁ…それって今週に入ってからの事やろ…?」

   「昌幸くんの非番の日やったから……火曜日でしたわ。」

  「そうか……自信作の改良版やったのに…改良し過ぎたんかも分からんなぁ………。」

 「なぁ夕子、あんたの手つきと段取りだけを見とったら、包丁さばきは勿論………」                               「最後の洗いモンや片づけまで、職人そのものなんやけど……加減ってもんを…覚えんとあきませんで…。」

「それなぁ…この間も先生に怒られたんや…チョロチョロとした、トロ臭い火加減を見てるだけで…イライラしてくるんや。」       「せやのに、包丁持ったら、細かい細工でもへっちゃらなんやで……絶対、先生より上手い自信が在るわ。」              「バランの、早切り大会とか在ったら…国体でも優勝出来るのになぁ……。」

 「あんた、そんなとこは…お父ちゃんとソックリやんか…… 昌幸くんと3人…人種的には共通してますなぁ…。」           「それも長所に違いは無いんですけど、火加減、さじ加減、ころあい加減と…いろんな加減を覚えん事には料理は作れませんで。」 「夕子の場合は、ころあい加減が一番…必要かも知れませんなぁ。」

「なるほど、ころあい加減なぁ…うち的には、考えた事も無い発想やったわ。」                                     「小さい頃から、全力で勝負してきた事しか思い出されへん……犬のウンコまで踏んで………。」

   「あれには泣かされましたで……」

   「せやろなぁ…うちが親でも泣くわ。」

 「それを聞いてホッとしましたわ。 お父さんは泣くどころか…『やっぱり親子や~』って、大笑いしてはったから……。」               「夕子の子供が、もしも同じ事をした時には…是非、泣いてちょうだい……お願いやで。」

「ん~~~父親を、マサやと仮定した場合…かなりの確率で危険やなぁ……。」                                「せやけど、3代続けてそんな奴が生まれてきたら、在る意味…世界的にも凄い事やで。」

  「私には、現段階の2代続けてだけでも…十分、凄い事やと思えますけどなぁ…?」

 「うち、マサにも言われるんやけど…思い出せば思い出すほど…ほんまにロクな事して来てへんなぁ……。」                    「お父ちゃんは置いといても…お母ちゃんには、迷惑の掛け通しやったんや…。」

「迷惑と思うた事なんか…1度も在りませんで…。」「その代り…恥ずかしいとは、数えきれんほど思いましたけどな……。」

「……ご、ごめん。」「せやけど、目からウロコやったわ……ころあい加減を心掛けて、今まで以上に本気で頑張るから…。」

「私も、本気で期待してます。」「それからね、言うときますけど…心配なんか全くしてませんのやで。」                    「夕子は、ひとつ何かを掴んだら…後は、放っといても一流になれると知ってますから。」

  「有難う…。 お母ちゃんに、そう言われたら…ほんまに嬉しいわ。」

   「あとは………」

   「あとは……?」

 「もうちょっと、女らしさも…この仕事には必要やと思いませんか?べっぴん度は…申し分無いんですけどねぇ……。」

「うん…それについては、けっこう落ち込んだり、悩んだりしてる最中なんやけど…こればっかりはなぁ……」                「お母ちゃんのスカートでも…はいてみよか…?」

 「…それは……もうちょっと…色が白うなってから、に…した方がよろしいのと違うやろか…?」

  「…せ、せやな……長い目で応援してや……。」

 「お父さんの面倒見てるくらいやさかい…心配せんでも大丈夫やで。」

   「わかった……説得力は十分やったわ。」

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コメント

ころあいが測れないところが、面白いんやけどねww

夕子の最大にして、最強の難問だったりしてww「ころあい」・・
実験ってww、被害者も加害者も了解してるところが笑えたww
ひねた方の人は、親やからしゃーないけど、間違えば一生食べるかもしれないマサの方は、オリンピックより重大問題かも?ww

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藤井美菜さん、いつも有難うございます。

私自身、妹の人型モルモットにされていた時期が在りました……物語はそのアレンジなんですが、美菜さんって料理の腕も良さそうですね。
前回も筑前煮についてのコメント頂きまして嬉しかったです。

妹も私を実験台に今や2児の母親として頑張っていますが、料理上手と評判なんですヨ。

編集長か? さん、本当に有難うございました。

読んで頂いた皆さん、文字の誤変換が在りました……大変失礼致しました。

修正いたしましたが……『 編集長か?』 さん、本当に有難うございました。

これからも、宜しくお願い致します。
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