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夕子、西成区花園町在住。 第72話    (お義母さん、本当に…)

  「お義母さん、本当に迷惑を掛けました…わがままを許して下さい。」

「三郎みたいなモンの面倒をみれるんは…あんたの他に居てる訳が無い…わてから見たら、あんたは国宝級の嫁でっせ…。」  「何があっても…謝って謝って…なんべん頭を下げてでも、付いて行くように…言うて聞かせますよってに…これからもよろしゅうに…。」

    「はい…お義母さん、お願いします。」

    「おいおい、横で聞いてたら……。」

 「お母ちゃん! こんな朝早ようから帰って来てくれたんか…?」 「もっぺん戻ったりしたら厭やで……。」

     「な、なぁ……俺の話……。」

「そんな事しますかいな…もう何処へも行きません…だいたい荷物なんか、着るもんぐらいやのに…朝も昼も在りませんわ…。」  「夕べ、お店の片づけを済ませてから…ちょこっと身の回りのもん、まとめただけですわ…。」

    「なぁ… そろそろ俺の話を……。」

 「あんたは、黙って…洋子さんに付いて行ったらよろしいねん。」                                          「ほな、わては出かける時間やさかいに……行ってきますよってな…。」

   「えっ、おばあちゃん…まだ仕事なん…? あっ、そうか…。」

 「年末になるたびに…製麺所にだけは勤めたらアカンと思いますわ…。」                                   「大みそかも何時に帰れるんか…想像もつきませんわ……わてが帰るまでは年越しそばも…【おあずけ】でっせ…。」

  「そうなんや……大晦日、今年は寝んと待ってるわ…行ってらっしゃい。」



  「お母ちゃん、なんか手伝う事……なぁ、お母ちゃんの予定は…? それを先に聞いとかんと…なぁ…?」

 「もう…夕子の悪い癖…慌てなさんなっていつも言うてますやろ…。」                                       「やる事は決まってます……何と言うても、おせち料理…や。」

  「わ~~っ、手伝える事が在ったら、なんでも言うてや…?…」

  「取りあえず、一息ついて……必要なもんと、必要で無いもんとを整理してから…です…。」

   「うんうん…それで、整理したら…?」

    「それは……買い物やんか…。」

    「行く~~~。」

   「なぁ…俺もなんか、参加できる事は無いんやろか…?」

  「お父ちゃん…今日まで仕事や言うとったやんか……もう、予約は無いのんか…?」

   「午前中に一件、昼からも一件……それだけや。」

    「…中~~途半端やなぁ…。」

 「それは、客商売やからしかた無いやないか…まぁ、明日の餅つき…ぬかりないように準備しとくわ。」

  「お父さんは、それで十分ですやんか……数は少ない云うても、仕事も入ってるんやし…。」

   「そうやで……それに、いざとなったら…マサが居てるやんか。」

 「…昌幸なぁ…」 「きのうは、ほんまに役に立ったんやで…よう手伝うてくれたんや。」                            「おかげでほとんど準備は終わってしもうてる…たしかに忙しいくらいやった…けども…。」

「嘘をつかれへん奴に、急にアドリブを期待するお父ちゃんが悪いんや…きのうの事やったら、悪いのはマサとちゃうで。」

   「それは…そう言われてみると…確かにそうやなぁ…。」

「マサの事やから、あしたの餅つきも…『俺がおらんと話にならん。』くらいに思うてるはずやで…在る意味楽しみやけど…。」

 「そら、二臼分は藤川さんとこからの頼まれモンやしなぁ……昌幸の手伝いにも気合は入るやろ~。」

 「ん~~っ! 何をやっても、何をしてても楽しいわ~~ 正月…いや別に正月なんか、ど~でもええくらいや…。」           「お母ちゃん、有難う! このあいだ、お母ちゃんと話した時…これはもしかしたら時間が掛かりそうやと、思うたんや…せやから…。」 「…せやから、一番…有難うって言いたいのは…お父ちゃんにや!」 「そうや! お父ちゃんの逆転満塁ホームランやったんや!」

   「えっ…ほんまか…?…そうなんか…?」

  「…はい、その通りやと思います。」 「ほんまに…ふっきれて帰って来ましたんや。」

   「そ、そうか!…ほな今晩…楽しみに……。」 

「アホっ! ゆ…夕子の前でっせ~ いややわ~~ なぁ…?お父さん、なにを言うてはるんやろか…?ほ…ほんまに……。」

「お母ちゃん…嬉しそうやんか…ほんまに厭やったら…うち今晩、寝んと起きてるか…お母ちゃんと寝てもかまへんで…?」

  「…せ、せやから…いつも言うてますやろ……夕子はいらん気を使わんでもええって……。」

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