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夕子、西成区花園町在住。 第69話     (夕子ら、よっぽど…)

 「夕子ら、よっぽど嬉しかったみたいやな……ごっつい喜んでたで……俺が言うのもなんやけど、有難うな。」

  「それは良かったですわ……はい、もう暖簾もしもうたし……。」

   「おう……お前も飲むやろ…?」

 「はい…。 注いで下さい…。」 「ふ~~っ…もう残り少ないけど…やっぱり年末は忙しいですわ…。」                 「だからと言って…夕子に毎日は手伝わされへんし…。」 「そうは言うても…おとといかて、二人とも『もう動けません…。』って言う程食べたのに、夕子は手伝うてくれましたんや…昌幸くんは、しばらく休んで先に帰りましたけど。」                           「夕子は…ええと言うても、やっぱり気になりますわ…。」

 「夕子の事は、流れに任せといたらええと思う…。」                                                     「昌幸は、その後うちに寄って…報告とお礼を言うて行きよった……ほんまに喜んどったわ…。」

 「流れにですか…?…そうかもねぇ……それにしても、昌幸ちゃんは…ほんまに…ええ子ですなぁ……。」

 「せや…なんやかんや言うて、天然記念物みたいな奴や…どんな事が在っても憎まれへん…大人の俺でも大好きや。」

   「…おとな、やからとちゃいますか…?」

 「…かも知れへんな…。」 「友達にも人気はあるやろうけど…確かに、大人には絶対に嫌われへんと思う…。」           「夕子が言うように、あんなええ奴は見た事が無い………。」                                                     「子供の中の子供と云うのんか……あれが本来、子供のあるべき姿と云うか……。」

 「そうですなぁ…素直で…ほんま、よう気が付くし……なにより、元気は有り余ってますわなぁ……。」

  「元気と素直さは…ちょっと、余りすぎや……。」

  「可愛いぃて、しゃ~ないんですやろ……?」

 「…うん…当然、夕子の次やで…。」 「あいつやったら、ええ警官に成れる……ほんまや…絶対、間違いない…。」         「逆に、あんな奴しか…警察官には、成ったらアカンねん……心底そう思うわ…。」

  「…あんたや、昌幸くんみたいな人ばっかりとは…違うんですか…?」

   「………そうやったら…今も警官やってるはずや……。」

  「……ビール空やねぇ……」  「ウィスキーの水割り…作ったげるわ……。」

  「昌幸には…俺みたいな事に捲き込まれんといて欲しいけどな……。」

   「…それって、ややこしい人らとの付き合いですか…?」

 「いや…あいつらとは、ややこしい事には成らへん…それこそ単純明快なんや…。」                            「最近は、変な奴もおるらしいけど……ようは、筋が通ってたら…ええんやから……。」

   「…筋の通らん事が…?」

 「組織や…役職や…見栄や、言うてなぁ……最後は…恩を売るんやそうや…訳が判らんかったわ……。」

   「……もう一杯…いく……?」

    「……ええか…?……」

  「もちろんや……すぐ作る………」  「…はい……。」

 「…全国大会の予選や………名前は言われへんけど、勝ったらアカン相手が居ったんや…。」

    「……そうでしたんか……。」

  「お前には、迷惑掛けたけど…スマン事したなぁ…。」

 「…もう、なんやのん………そんな事を…そんな…あんたには当たり前の事を…今まで内緒にしてましたんか…?」         「あほらし………。」 「…なぁ! わざと負けてから…辞めたんや無いやろね…?」

 「それこそ、当たり前やないか! 明日が試合や云う時に言われて……その場で辞めてきたんや。」                     「…後は、お前に報告して……この通りや…。」

   「アホっ!……カッコええやんか…!…。」

 「…アホなんか……どっちやねん…?…カッコええんか…?…。」

 「カッコええよ…サブちゃん…。」                                                                 「私にしたら、理由みたいなもん…何でも良かったんですけど……そんな理由やとは…思うてませんでしたわ…。」

   「どんな理由やと思うてたんや……?」

 「そんなもん……人に言われへんような…事に、違い無いやろと……。」

    「……たとえば…?」

 「はい…その時、真っ先に思うたんは…『おまわりさん…喧嘩や~早よ来て~!』…とか言われて…行ったんはええけど、そのうち敵も味方も無茶苦茶になって…集まって来た野次馬をはじめ、ヤクザも一般人も…最後は止めに入った同僚の警察官まで巻き込んで…大立ち回りの末、3人ほど病院送りにして…辞表を書くしか責任の取りようが無かったんやないかと……。」

 「あ…あのなぁ~ 一番、俺の事を知ってるお前の言う事だけに……。」                                     「まぁ、似たような事も在ったけどな… 誰にも言うなよ、知らん奴が聞いたら本気にしよるやないか……。」

   「せやから、人に言われへんような事やって…言うてますやんか……。」

 「…た、たしかに…人には言いにくい話やけど…他にはなんか…もうちょっと、マシな事は考えへんかったんか…?」

 「もう、ちゃんと聞いてましたんか…?」                                                          「せやから、『真っ先に思うたんは…』って言いましたやろ…?」                                             「これや無かったら…次に思うたんは…マージャンで珍しく大勝ちしたんは良かったけど…警官のくせに博打で金儲けしとるとか言われて…最初は冗談半分やったのに、そのうち敵も味方も無茶苦茶になって…集まって来た野次馬をはじめ、ヤクザも一般人も…最後は止めに入った同僚の警察官まで巻き込んで、大立ち回りの末、3人ほど病院送りにして…辞表を書くしか責任の取りようが無かったんやないかと……。」

 「ど…どこが違うねん! キッカケ以外は一緒やないか……俺のイメージ…ど~なっとんねん…?…ほんまに…。」

 「イメージも、シメジも…そのまんまですやんか…。」 「…素直に、この2つしか思いつきませんでしたわ…。」

   「…ひとつしかやろ……?」

  「…そ~云う…解釈も在りますやろか……?」

  「頭から決めつけとるやないか…。」

   「…29日に帰りますわ……。」

  「えっ…! 今、なんて…?…お前の話なんか…? ほんまにか…?」

 「…はい…今…決めました。」 「お店は28日までで…片づけして…元々、おせちは店で作るつもりでしたけど…。」          「はい…家に戻るんは、29日… 29日に帰りますわ…。」 「夕子には私から言いますから…それまでは……。」

    「…うん。 わかった。」

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