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夕子、西成区花園町在住。 第68話      (おい、夕子…あっ…)

「おい、夕子…あっ、昨日はほんまに有難う…お父んやお母んからも、ちゃんとお礼を言うように言われて来たんや。」       「おばちゃんにも、『むちゃくちゃ美味しかったです。有難うございました。』…って言うといてや…頼むで~。」

   「判ってる……それより、『おい、夕子』の続きは…?」

    「…そうや…おい、夕子………」

  「続きや…って言うてるのに…『おい、夕子…』から…始まるんかいな…?」

 「リズムってもんが在るやないか…ここからやないと…続くもんも続かへん。」

 「……ごめん…わかった。」 「しょ~もない事を…こねくり回して、長々と喋るつもりやな…?」

 「おい、夕子…もちろんお前の協力が在ったからやけど、冬休みの宿題は昨日で終わらせた…と云う事は、3学期が始まるまで、俺たちを悩ませるモンは何ひとつ無い…。」                                                      「しか~も…その間には正月まであるんや……けど、ここからが問題なんや…ええか…?」

   「ええか…も、なんも、当たり前の事やんか…?」

 「せやから、ここからが問題やって言うてるやないか…これは小学校に入った…2年前から思うてた事なんや…。」         「そして去年、それは確信に変った…それから一年、俺の長い長い戦いが………」                                  「…この一年が…報われる時がやって来るんや…『じぃ~~ん』…………。」

 「なぁマサ…自分で、『じぃ~~ん』…って言うのもおかしいけど…でもまぁ…何をたくらんで来たんか…気にはなる…。」      「ただ…あんた、このパターンに磨きを掛けて、来年さらにパワーアップしようと思うてるやろ…?」

   「…うん……ちょっとだけな…。」

「…取り敢えず…今は、来年の事を考えるんはやめとくわ……ほんで、あんたの苦労が報われるんは何やねん…?」

 「それや!」 「冬休みは嬉しい……けどこの年末に、小遣いが残ってる奴が居てたら国宝モンや。」                  「なんぼ甘えた声で頼んでも、もうすぐ正月が控えてるからな……追加融資もまず無理やろ…?……。」

   「…うん、たしかにそうやな……ほんで…?」

「なっ…そう、ほんでや…元旦になったら、俺ら子供は金持ちや…けど、そのお年玉を使える処があるか…?無いやろ…?」    「近所の店はみんな休みや…長いとこは6日ぐらいまで休みよる……店が開くころには学校も始まるんや…。」

 「なぁマサ…しょうも無いとは言わへん。」 「たしかにそうや…けど、あんたこんな事、一年間ずっと考えとったんか…?」

    「すごいやろ~~~。」

   「…すごいよ……在る意味で……。」

  「…そ、それで完成したんが…これや~!」

    「……何…?…」

  「ふっ……聞いて驚け! 見て叫べ!これが噂の…【正月限定、役立つ子供の味方マップ】や…!」

    「……………」

 「なぁ、もうちょっと喰い付いてくれてもええんとちゃうか…?」                                           「せめて…『誰も噂なんかしてへん。』…くらいの事は…期待してた…まぁ、ええ………」                            「内容を見てみい…さすがに元旦は別として、2日は太陽マートが一日だけやけど店を開けよる。その入口には、わたがしとタコ焼きや、3日は、ちょっと遠いけど天下茶屋駅前のプラモデル屋が開いて…近いとこでは花園市場のカステラと駄菓子の店が開くんや…4日になったら、もう………」

  「…もうええ!…アホ!」  「…それを完成させるのに、一年掛かったって事やねんな…?」

  「…い、一年は大袈裟やけど…2か月は掛かったど……せやから、もうちょっとやなぁ……。」

   「もうちょっと…なんやねん…?」

 「もうちょっと付き合うてくれても…まだほんの一部なんやで…鶴見橋や梅南みたいに。映画館が在る処は元旦から開く店も多い……なんと云うても初詣での神社周辺や…………なぁ、この情熱が詰まった作品に感動して言葉も出えへん……って事は無さそうやなぁ……?」

   「…あほらしいて、言葉もでえへんわ…アホっ!」

 「お前、『アホっ』って、死ぬまでに何回言うつもりや…? すでに俺には“27893回”言うてるんやど…」

   「あっ……アホっ…!」

   「…“27894回目”~~~。」

 「…あ……あかん…… 笑うてしもうた~うちの…うちの負けや~~。」

   「勝った~~~!…」

  「その勝ち負けとはちゃうやろ! ええ加減にしときや…アホっ!」

   「…“278………忘れた……。」

 「…さ……最後は…天然やからなぁ…たまらんわ~~~」                                              「…芸では無い事が判ってるからな……あ…アカン……ほんまに負けや………あ~~しんど………。」

  「嬉しいんやけど、喜ばれへんやないか……けど、ほんまに頑張って調べたんやど…。」

  「わかった…よっしゃ! 年が明けたら自転車で回ろか…付き合うたるわ…。」

    「やった~、これで報われるわ……。」

 「うん、ちょっと見せてみ…色分けまでして綺麗やんか。」                                            「…なぁ、色とりどりの店や日付は…マサ、あんたやろけど…この土台になってる地図…お父ちゃんやろ…?」

   「え~っ…なんで判るねん…?」

 「マサにしたら、上手過ぎるのんと…地図の中心がうちの家や……いかにも、お父ちゃんらしいわ…。」

    「…あっ、ほんまや……。」

  「…ほんまに……あんたら二人が…親子やないやろなぁ……。」

 
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