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夕子、西成区花園町在住。第47話(今度やったら、ちょんぎるで…地域限定余談)

「まいど~ おう若女将、この頃は毎週のように出迎えてくれるやんか嬉しいで…おまけに未来の若旦那も一緒やないか。」

  「うちにとって、人生最大の汚点になるような事、言わんといて。」

  「うわっ。 …みんな気を付けんと、今日の若女将は怖いで…。」

 「なに言うてんの…うちがお客さんに怒る訳ないやんか。 ビールと土手焼き人数分やろ…? …毎度、おおきに。」

   「たいしたもんや。 これは、藤川くん、絶対尻に敷かれるで。」

   「せやから、 …人生最大最悪の汚点や言うてるやんか。」
        ( マサ心の声 ) ( …あっと云う間に…最大に【最悪】がプラスされとるやないか……… )

  「夕子、昌幸くん放っといたらあかんやないの。 …はい、お待ちどうさま。」

「おっちゃんら、ほんまに誤解せんといてや~。」                                                    「けど、今日はマサが居るから、最初に注いだら終わりやで…… 食べ終わったら帰るよって…。」

  「よっしゃ。 …まぁ、まずは乾杯や。 …はい、お疲れさん。」

 「お疲れ様でした。 …おい、昌幸…しっかり食べてるか…? お前が大人しいしとったら可笑しいやないか…。」

  「…ああ、山本のお兄ちゃん…今晩は…。」

  「おいおい…いつもの元気はどないしてん…?」

    「…いや、元気です。」

 「せやから、尻に敷かれるって言われるんや…おっと、こんな事言うてたら、また若女将に怒られるわ。」

  「ほんまや。 ええ加減にしてや。 …マサも早よ食べ、帰るで。」

  「うん。 けど、ちょっとだけ待って…お兄ちゃん、聞きたい事があるねんけど… いいですか…?」

    「えっ…ええけど、昌幸…なにが聞きたいんや…?」

  「あの~、お兄ちゃんら、行き帰りは地下鉄でしょ。 …南海電車は乗らへんのですか…?」

「そら、南海電車も乗るけど、通勤は地下鉄やな。 家やこの店には、花園町より萩之茶屋の方が近いんやけど、職場は天下茶屋より圧倒的に岸ノ里の方が近いからな… けど、なんでそんな事聞くんや…?」

「お父んが言うには、去年…新今宮の駅が出来て便利にはなったんやけど…萩之茶屋の駅に、それまで停まってた電車が…停まらんようになったって言うんですけど…ほんまですか…?」

   「そんな訳無いやないか…なぁ…?…」

「いや、森川さん、ほんまですわ。 停まらん訳や無いんですけど、おそらく半分以下になったんとちゃいますか。」

  「お父んも、そんなふうに言うてました。 兄ちゃん、なんでか知ってるんですか。」

   「へぇ~~山ちゃん、俺も聞きたい。 …教えてくれ。」

「はぁ、新今宮が出来るまでは、難波から天下茶屋まで、すべての普通電車が停まってたんですけど…新今宮が出来てから、本線と高野線の分岐点が天下茶屋から…新今宮に変更されてしまいましてん。」

    「…ほぅほぅ… …ほんで?…」

「だからですねぇ…今宮戎と萩之茶屋は…高野線の駅なんですわ。」                                       「…せやから、本線の…そう、和歌山行きの電車は…普通電車でも停まらなくなりましてん……わかります…?」

「…いや、なんか、判ったような判らんような…新今宮は新しい上に、乗り継ぎ駅やとしても…天下茶屋はどっちやん…?」      「今の話やと本線の駅なんやろ? …せやのに天下茶屋には…高野線の電車も停まるんかいな…?」

「そうですねん。」                                                                      「天下茶屋は今までも分岐する駅でしたし、将来的には大きな乗り継ぎ駅になる予定らしくて…こうなったんやそうですわ。」

   「ふ~ん…とにかく…萩之茶屋も舐められたもんやな。」

「まぁ、舐められたかどうかは別として、とにかく…本線の方が本数も多いので、停まる電車は半分以下になったはずです。」

 「そら、萩之茶屋の駅から見たら不便になったわなぁ…知らんかったわ。 …どや、昌幸も解かったんか…?」

  「……??…なんとなく…はい。 …有難うございました。」

   「良かったやんか。 …ほなマサ、帰ろか?」

   「うん。 おばちゃん、ご馳走さまでした。」

「せやから、森川さん…僕らも仮に南海電車で出勤するとしたら…萩之茶屋で電車を待つより、タイミングも在るとは思いますけど…案外、新今宮まで歩いた方が早いかも知れませんで…すぐそこですしね。」

  「まぁ、たしかに近いけども…そこに見えてるもんなぁ…。」

  「おっちゃんら …うちら帰るで、ゆっくりしていってや。」

  「ああ、若女将と若旦那…はぐれん様に、手でもつないで…気を付けて帰るんやで。」

  「…もう、ええって。  汚点や、汚点…ほんまに…お母ちゃんもお休み。」

 「ちょっと待ち…はい、気を付けて。 …昌幸くん、これ、【ちらし寿司】持って帰り。」

  「あっ、いつも有難うございます。 …こんなにたくさんいいんですか?」

  「あんたらの為に作ったんやから、気にせんでもええんよ。」

   「お~い、ママ~~ …おかわりや。」

  「…ほな、お休み……。」  「はい、はい…森川さんはお湯割りですか…?」
 

「夕子、ありがとう…ほんまに美味しかったわ。 …お腹も一杯や。」

   「うん…? …そら良かったわ。」

「なんや、まだ怒ってるんか…?」 「お前って…悪魔も思いつかんような恐ろしさと、怪獣が謝るほどの凶暴性を持ってるくせに…しつこく無いとこが取り柄のはずやったのに。」

  「なぁ…とりあえず、笑いを取ったら…勝ちやと思うてるやろ…?」

    「うん、けっこう…思うてる…。」

  「いつも笑うとは限らんやんか…?…」

「…せやねん。 笑うんか、怒るんか…そこは、いちかばちかの勝負なんや…。」

  「磨きが掛かって来た陰には…それなりの苦労があるんやなぁ…。」

  「努力は必ず報われる…って、教えてくれたんは…夕子のおっちゃんや。」

   「…しゃ~~ない奴っちゃなぁ~…。」 「……次は無いで!」

     「…えっ…!?…」

  「…今度、女風呂に入って来たらちょん切るからな。 …覚えときや!」

「うわっ! …な…なぁ…ちょん切るって、 …どこをやねん…?…」

 「…なぁ……お願い…今のは、忘れて……誰にも言うたらあかん…で…ええか!…。」

    「……えっ!?……うん…。」

    「…絶対やからな!」

「わかった、誰にも言わへん。 けど……俺は…死んでも、生まれ変わっても…覚えてる…と…思う…。」

   「…今、ここで…ためしてみよか…?」

  「…記憶の整理どころか…整頓までついた。 …うん、完全に忘れた…お休み。」

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コメント

こういう小説のブログはいくつか知ってますけど
ほとんどが会話の小説って
めずらしいですよね
難しくは無いんですか?  (*^▽^*)

加夢さん、有難うございます。

今回は、浪速のコメディーと云う事で、会話のみの作品にこだわっています。

関西以外の人には読みにくいとは思うのですが、会話は大阪弁、状況解説は標準語となるとリズム感が狂いま

す。会話に中で様々な情景が描けるように努力しているつもりですが、御指摘のように、確かに難しいです。

今後とも、貴重な御意見をお願い致します。
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