FC2ブログ

夕子、西成区花園町在住。 第44話   (ちょっとだけ、かまへんか…)

     「ちょっとだけ、かまへんか…?」

  「あら、サブちゃん、今日はどないしてたん…? 松喜寿司さん閉めてはったでしょう…?」

「うん、店は閉めてたけど…『中に入って適当にやっとき』…と大将が言うてくれたんで…茂ちゃんと二人で飲んでたんや。」

   「食べるもんは…? …ちゃんと食べましたんか…?」

    「うん…なんか在ったらたのむわ。」

   「ワサビたっぷりの…鮭茶漬けでどうです…?」

   「最高や。 …夕子、来てたんやろ…?」

 「よう、手伝うてくれましたんやで。 今日も森川さんとこ…夫婦で来てくれてましてなぁ…。」                         「サブちゃんと一緒で…納豆が食べられへん言うて、盛り上がってましたわ。」

  「納豆で、どないして盛り上がれるねん… あんなもん食える方が可笑しいんや…。」

 「そない言うて、盛り上がってましたんやんか。」                                                   「森川さん以外は、みんな好きなもんやから…サブちゃんを味方に欲しがってましたわ~。」

  「あいつとは、昔から気が合うんやとか言うてやろ…目に浮かぶわ…。」

  「その通り… はい、ワサビが足らんかったら好きなように…。」

 「…うまい。 …なぁ、おふくろが帰るまで…鍵が無いんで帰られへんのやけど、いっぺん電話してみてくれへんか。」

   「…夕子は…もう寝てるやろうしね…。」

 「居てたら…すぐに帰るからって言うてくれ。」

 「…でませんなぁ…もうちょっと待つしか無いようやね…まぁ、のんびりしていき…。」                              「お客さんも途切れたから…暖簾しまいますわ…。」

   「あっ、俺が入れるわ。」

  「ほな、私も、一杯付き合います。」                                                         「こっちのバッテラは、残されへんから…食べられるんやったらどうぞ…電話はちょっと…時間あけてまた掛けますわ。」

  「すまんなぁ…お前と話が出来るんはうれしいんやけど……。」

    「…何か話がありましたんか…?」

  「いや、特には無いんやけど…いつもの通り、なんとか誤解を解きたいだけや。」

 「時間も経って、私かて複雑なとこは在るんですけど…最初の印象がきつ過ぎて、なにか在る度思い出しますねん。」        「思い出したら腹が立つやら情けないやら…このアホが、ほんまに…!」

   「なぁ、…いま思い出すんはやめてくれるか…。」

 「…そんな都合よくコントロール出来るんやったら…苦労しませんがな…。」                                    「だいたいエッチはしてへん言うても、みだらな事はしてるんやから、なんぼ仕事でも…許せませんのや。」

 「…そう言われると言い訳も出来んけど…ほんなら、変な関係や無い云う事は解かってくれたんか…?」

   「…信じようと…努力はしてます…。」

   「有難う、大躍進や…。」

   「調子に乗りなや。 …夕子のためです。」

 「…判ってる。 それでも、大前進や…始めてしもうた事を今すぐゼロには出来へんのやけど、減らす努力はしてるんや。」     「実際に、かなり減ったしな… お前が出て行ってもう一年になる…。」                                        「間に合わんかも知れんけど、出来るなら…今年は家族揃って…年末年始を迎えたいと思うてるんや…。」

「去年はいきなりで、頭に血が上ってましたから…今年は夕子のためにも正月ぐらいは一緒に過ごしてやりたいと思うてます。」

  「ほんなら、正月までには戻ってくれるって云う気持ちが在るんか…?」

 「戻るかどうかは別の話ですけど、おせち料理かて…張り切って作って正月を迎えるつもりです。」                   「夕子が楽しみにしてる十日戎にも、商売してる事ですし必ず行きます…お父さん、あんたも…今年は一緒にどうです…?」

  「うん…ええ展開が見えてきたわ。 戻ってくるための障害はやっぱり…あれがゼロにならんとあかんか…?」

  「…そう云う事だけや無いんですけど…なんて言うたらええのか…。」

  「ゼロにするにはもうしばらく掛かるけど…必ず、近い将来には…。」

 「電話予約で午前中限定にするって言うた時は、ただ夕子の事を考えてやと思うてました。」                       「けど…減らす努力をしてると云う事には、最近になって気が付きました……。」                               「嬉しいですけど、極端な無理はしたらあきませんで…… 相手や、お客さんが居てる話ですよってに…。」

「複雑やけど、八方美人のお前らしい答えやなぁ。 せやけど、俺はお前以上の八方美人やから心配はいらん。」

 「そこがまた心配なとこですやんか…あっ、長話してしもうて…そろそろ、お義母さんに電話してみんと…。」

   「…どうや… おふくろ帰ってそうか…?」

  「…う~ん、出ませんなぁ……。」                                                            「もう、こんな時間ですよって、一旦帰って…銭湯かて、もう済ませてますやろなぁ……どないします…?」

  「ん~~…この時間や、もう寝てるやろ…そろそろ困る時間になってしもうたなぁ…。」

   「預かってる鍵、渡しましょうか…?」

 「いや、それは持っててくれ…俺にええ考えが在る。」

    「ええ考え…って…?」

 「久しぶりに、一緒に…銭湯へ行くんや。」

    「銭湯に行って…?」

     「…泊めてくれ。」

 「アホ! …どこがええ考えですねん。」

 「やっぱりあかんか…ええ考えやと思うたんやけど…。」

「……まあ、仕方ないですわ…。」                                                             「その代り…言うときますけど、ふとんは別…ちょっとでも変な真似したら叩き出しますよって…よろしいな…。」

   「おう、当たり前や…解ってるがな。」



  「これより近づいたら承知しませんで。」

 「解かってるって、けど…風呂あがりなんやから…もう一杯だけ寝酒に付き合うてや…ビールでのうてもかまへんし…。」

  「ウィスキーやったらそこに在るから、勝手にやって下さい…私はもう寝ます。」

 「つれないなぁ…。」 「一人ではしゃ~ないから俺ももう寝るわ……電気消すで~。」


   「これっ、なにしてんの…!?」

     「なぁ……」

    「じっとしとき!」

    「なぁ、洋子……」

   「じっとしとき…って言うてるやないの。」

 「俺、あの仕事しながら…ごっつい我慢してるんやで……。」

   「アホっ! そんな汚い手でさわりなっ!」

     「痛~っ……」

 「ええ加減にしときや!  …ちょっとでも変な真似したら…叩き出すって言うたやろっ!」

   「変な真似って……夫婦や…」

 「寝るのんか? 叩き出されたいんか…?」

   「…ね…寝ます………」

  「さっさと寝っ! アホ…」

 「…おやすみ……なぁ…戻って来てくれた時には…かまへんの…やろ…?」

 「アホっ、もう、早よ寝なはれ……… それは、まぁ…考えときます…。」

スポンサーサイト



コメント

弘さんっ
コメントありがと~ですっ(('ェ'o)┓ペコ

「かまへんか」
大阪弁らしい
独特の言いまわしですよね~
続きを楽しみにしてますっ(*^^)

ティクレアさん有難うございます。

とても嬉しいです。

この後はまた、夕子とマサの活躍が続きます。

是非、応援してやって下さい。

(銭湯の話は笑えますよ・・・)
非公開コメント