FC2ブログ

夕子、西成区花園町在住。 第43話      (居酒屋「洋子」 後編)

     「ど~も…お邪魔します。」

   「はい、あっ、いらっしゃい。 ご主人…お待ちかねですわ。」

  「あらあら、すでに盛り上がってますやんか。 どうせ、私の噂でもしてましたんやろ…?」

    「…………」 「……⁉……」 「……‼……」 「…………」

 「こんだけ、シ~ンとしたら、図星やって言うてるようなもんやないの… あんた、正直にいうてみぃ…。」

  「おっちゃん…うちの顔、そんなに見んでも… まだまだ口は裂けへんから…心配いらんて……。」

   「あちゃ~~裂けたんとおんなじや… 若女将、それを自爆って云うねん。」

  「どうせ、死んだ嫁はんの遺言とか、なんとか言うてたんですやろ…。」

    「………」  「………」  「………」

  「アホっ…どこに行っても…ワンパターンなんやから…。」

「こんなんを以心伝心って言うんやろか…? うち、なんや、ごっつい将来のために成りそうや…けど、森川さんとこがええ夫婦や云うのも改めて判ったわ…… なぁ、おばちゃんも飲むやろ、飛切りの熱燗…で…。」

「…はい、頂きます…夕子ちゃん、噂通りの若女将ぶりやね…私とはたまにしか会わへんのに、ちゃんと覚えてくれてる。」     「なにより会話のやり取りが上手やわ…… どうも、騒がしてすいませんなぁ… さぁ、山本さんも飲み直して下さい。」             「いつも主人のオモリしてもらって…有難うございます。」

 「いえいえ、オモリをしてもらってるのは僕の方ですから… 逆に帰りを遅くさせて申し訳ありません。」                  「先輩と飲んでるとほんまに楽しいですし、それに子供の頃から、色々と教えてもろて…本当に感謝してるんですわ…・。」

 「はい…これからもお願い致します…。」                                                         「ご無沙汰してますけど、良かったら、また家にも来て下さい…ママのようなご馳走は出来ませんけど。」

   「はい、それこそ有難うございます。」

   「おい、放っとかんといてや…。 ママ~~ ブリの照り焼きと…お湯割りをおかわりや…。」

    「ペース早いんとちゃいますか…? 山本さんは…よろしいんか…?」

 「僕、今日はずっとビールでいきます… 一本抜いて下さい。」                                          「でも、奥さん、飛切りの熱燗って…すごい酒豪みたいですやん…?」

「その逆です… 好きな方ですけど、強くは無いんで…飛切りの熱燗にするとアルコールが飛んで飲みやすくなりますねん。」

    「あっ、なるほど…。」

 「お酒の事はうちには良く判らんけど、みんな、飲むもんが違うんやなぁ…日本酒でも、冷で飲んだり温めて飲んだり。」      「焼酎もそうや、お父ちゃんはビール以外はウィスキーしか飲まへんし…大人になったら…全部試してみる事にするわ…。」

    「若女将は飲める口やろか…?」

  「そうですなぁ、私とサブちゃんの子やから…間違い無く飲める口やとは思いますわ……。」                       「けど、後は本人の口に…合うかどうかですなぁ……。」

「うち、みんなを見てて、お酒が美味しいもんやと云う事はよう解かってるし…絶対、好きになるとは思う。」               「けど…うちはお酒を好きになっても、お母ちゃんがいつも言うてる通り…酒飲みはええ、せやけど…酒に飲まれる人は…今も、これから先も…好きにはなれんと思うわ…自分もならへん…絶対に。」

   「…ええ心がけや…ママ、そろそろお勘定……。」

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント