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夕子、西成区花園町在住。 第40話      (たこ焼きの値上げ…)

  「あっ、青田先生こんにちは。」 「おじゃまします…夕子ちゃんいますか…。」

   「おう昌幸、頑張ってるか~?」

  「はい!頑張ってます…僕なりに。」

 「うん、それでええ。 夕子やったら居てるで、さっき帰ってきたとこや… ほら、降りて来よった。」

 「マサ、あんた…また宿題も時間割もせんと来たやろ…… ほんまに…まぁ、上がっといで~。」                      「ちょっと待ちぃや…うちの宿題はすぐに終わる。」

   「夕子、えらいこっちゃ。 一大事やど…。」

  「…いちおう聞いたるけど、どないしたんや…?」

  「タコ焼きが……10円で5個になってしもうたんや…。」                                             「これが一大事と違うたら…なにが一大事やねん。 …い…いままでは…8個やってんど…。」

  「うそやろ~!いつからやねん! …ほんまに一大事や~…って、言うと思うてたんか…?」

  「まて夕子、お前…事の重大さが判ってへんやろ…?」                                             「8個やったら、10円だけで辛抱出来るけど…5個になったら20円買わなしゃ~ないやないか。」                    「おまけに奇数はあかん… お前が3個で…俺が2個になってまうやないか…どっちがお金を出しても結果は同じ事やろ。」     「以上の事を総合しても、断固…反対するべきなんや。 今こそ、弘治小学校の全員が立ち上がる時やと思わんか…?」       「全校生徒で、デモ行進を決行するんや…… なぁ…今日は最後まで聞いてくれてるみたいやなぁ…?」

  「うん…。 おもろい…引き込まれとったわ……もう、おしまいなんか…?」

 「この辺までしか考えて無かった…次は、もうちょっと先まで考えとく…けど、そのかわり最後まで聞いてや…。」

 「それは、内容によるわ。 でも、確かにタコ焼きについては、マサほどやないけど一大事やからなぁ…。」                「8個と5個の違いは…大き過ぎるわ… でも、横町だけの話やろ…? 」                                   「会津屋は、もともと値段が違うけども…萩之茶屋商店街にも、鶴見橋にも…花園市場にも在るやんか…?…。」

「南の市場やろ…?あそこはもっと先に値上げしとった…北の市場は、夏前にタコ焼きからトコロテンに変えて、そのままや。」 
 「萩之茶屋のみたらし団子屋は横町と一緒に値上げしよった。 それも、きのうからやで…ものすごいショックやった。」

  「さすがにマサや… と、言うてええのか、どうなんか……ほんで…?」

 「今から、鶴見橋と梅南の商店街に行くんやけど……誘いに来たんや…行こ。」

  「ちょっと待ち…………よっしゃ、行こ。」

    「うしろ乗るか…?」

  「いや…うちも自転車で行く。」

 「喧嘩したら、歩いて帰らんとあかんからやろ…?」

    「あんたが、…な。」

 「今日の場合、会津屋はほっといて、梅南から鶴見橋の順番で行く…もしもの時は、その後、今宮戎を目指すつもりや。」

   「気合十分やな。 …マサ、この頑張りを…他の事にも発揮したらどうやねん…。」

  「そら気合も入るで~~ たこ焼きは、お好み焼、焼きそばと並んで…永遠のベスト3や。」                        「その中で、毎日こずかいで食べられるんはタコ焼きだけやないか、それが…10円と20円ではえらい違いやで~。」

 「こう云う事には説得力あるなぁ…うちのベスト3には【芳月】限定やけど…アイスクリームが入るかも知れんけどなぁ…。」

 「夕子もまだまだ甘いな… ええか、総合順位のベスト3は…永久に不滅なんや。」                             「…けど、タコ焼きやお好み焼きを食べ終わったとたんに…なんと、芳月のアイスクリームが1位に変るんや…。」            「…これこそ、総合順位が…状況順位に変る瞬間やねん…。」

    「スゴっ……マサ、先生と呼んでええか…?」

 「先生でも師匠でも、好きなように…なぁ、最初にタコ焼きって言うた時に、『タコ焼き云うても、お前を焼くんとちゃうで』って、ごっつい言いたかったのに…ぐっと我慢したんやけど…正解か…?」

 「アホっ! ぐっと我慢したんやったら、最後まで我慢しとき!」                                         「…結局、言うてしもうたら一緒やんか…… たしかに、もう怒る気にはなれんけど…。」

 「いきなり言わへんかったんも、このタイミングで…結局は言うたんも正解やったなぁ……。」                          「言わんと終わったら、今晩…寝られへんかったとこやった…。」

   「…そら良かったなぁ…あんたの睡眠に貢献出来て嬉しいわ……長生きしぃ…。」


 「ん~~ どこもかしこも値上げしとる…… 話が出来てるんやないか…結論は…5個10円がええ方やと言うことや。」

  「なぁマサ、あんたブツブツ文句言いながら、行くとこ行くとこ…全部でタコ焼き買うて食べてるやんか。」                     「…うちはもう…お腹一杯やで…。」

 「値段だけやったら、買わんでも判るけど、せっかくやのに…味見もせんといかんやろ。 その上で、近所の横町が5個10円で、値段も味も一番やと言う事が解かったんやないか… やっぱり食べるモンは…花園町が一番や…。」

 「せやな…うちの周りの大人も、みんな同じこと言うてるわ。 ただし…大人の一番は…土手焼きみたいやけど。」

   「えっ、そうなんか…?  ベスト3の残り二つは…?」

    「串カツとホルモンらしいわ。」

「お好み焼はどこにいったんや…大人と子供の違いと言うより、夕子の情報は、酒飲みのおっちゃん限定と違うか…?」

 「うん。 これは昌の言う通りかも…年齢性別順位みたいなもんがあるような気がするわ。」

   「とにかく、この総合順位は…不滅のはずなんや…。」                                            「どうや、こずかいの残りも少ないし、タコ焼きで腹は膨らんだ…仕上げは芳月しかないやろ……?…」                     「お腹一杯でも食べられるはずやで…?」

 「うん、うん。 今の一位は、絶対に芳月や… 二位もたぶん冷やしあめ…か…ラムネやわ。」                         「マサの言う通り…状況で順位が変わったわ… マサ、あんた…こう云う事にはすごいなぁ……。」                  「…あとは、晩御飯がちょっと心配やけど…それは根性で食べることにするわ……。」

    「どうする、大2個でええのんか…?」

  「うん。 …えっ、マサのおごりなん…?」

  「まかさんかい… これで天下無敵の無一文や…。」

 「うそやん! …ありがとう… 状況順位もすごかったけど、また…ちょっとマサの事好きになってしまうやんか…。」

   「……期待はしてへんけど、百点満点で言うたら……?」

     「…8点。」

   「出世したわ……」

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コメント

こんばんは。

さすが大阪、速射砲ですね。

東京だと、
子供がたこ焼き買えるって言うのもないので、
イメージが少し薄いですね。

10円だとどうしても駄菓子なので、
やっぱ違いますね~

ありがとうございます。

有難うございます。

私自身も同級生の夕子とマサが活躍する昭和40年と云う世界は大阪の下町にとってまさに高度成長の真っ只中、東京オリンピックの翌年でもあり、活気に満ち溢れていました。
これからも二人の活躍を応援してやって下さい。

お久しぶりです。

先日はコメントありがとうございました。
今、FXのトレード中なんですけど、なんかイライラしてきたので、遊びに来ました。

たこ焼きの話、おもしろいですねぇ。
やっぱり大阪の人はたこ焼きに思い入れあるんでしょうか?
関東ではなかなかおいしいたこ焼きなんて売ってないので、食べられませんから、うらやましいですね。

ラ コンシェルさん嬉しいです。

嬉しいですが、無理はしないで下さいね。

コメントはしていませんが、作品は都度、拝見しています。無理のないペースで頑張って下さい。

これからも、宜しくお願いしますね。
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