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夕子、西成区花園町在住。 第24・25話      (髪結いの仕事…)

  「なぁ、髪結いの仕事しとったお母ちゃんが、なんで、この店やることになったん?…聞いてもええ…?」

 「…いつか、夕子が聞いてくるとは思うてました。 それに、話が解かるようになったら、教えるつもりでしたから…」         「実は、お父ちゃんが…いややわぁ…ちょっと待ってや…」 「私ね、幼馴染に同じ洋子って、字まで一緒の友達が居ててなぁ、名前も一緒で気も合うて…その洋子ちゃんのお家が小料理屋【洋子】をやってたんよ…昭和の初めから…娘の名前を付けたんやね。」 「私は髪結いの道へ進んだけど、洋子ちゃんは両親のお店えを手伝うようになって…この辺は空襲で焼け残ったから、戦後すぐに人が集まって来てなぁ…どんな商売も繁盛したもんですわ。 まぁ、今でもそうですけど……。」

     「お母ちゃん、なんか考え事しながらって感じやけど……。」

 「解かりますか? 長い話になりそうですけど…まぁ、もうちょっと付き合うて…髪結いの仕事しながらお母ちゃんもお店を…【洋子】を手伝うようになりましたんよ。 二人の洋子が評判で、結構な人気でしたんやで…」 「ほんで…実はなぁ、実はこれも幼馴染なんですけど…幼馴染に男前のお兄ちゃんがいててなぁ。 この人が大人になって、警察官になりましたんや。」

      「それ、…お父ちゃんや‼」

  「そうです。 もともと二前目やった人が制服着て…カッコ良かってん。 …とにかくカッコ良かった~」                 「青田三郎、この人がよく出入りしてたんが…」

     「このお店…【洋子】や~。」

  「それも当たりやけど、慌てなさんな。」                                                        「…それでおじさん、おばさんに頼み込んで、サブちゃん目当てに…ちょっと強引にお店を手伝わしてもらいましてん。」

   「お母ちゃん、積極的やわ~ うち、ここは…お母ちゃんに似てる自信ないわ。」

 「なんで、そんな事が出来たんか、お母ちゃんにも分かりませんわ……。」 「そのうち洋子ちゃんのお父さんが倒れてしまいはったんや…障害が残ってしもてなぁ…おばさんもお店どころか、おじさんの面倒を観んといかんようになってしもうたんよ。」 「ほんまに繁盛してて…忙しかったから、お母あちゃん、思い切って髪結いの仕事やめて、ふたりの洋子に専念することにしましてん。」 「そのかわり昼どきも営業する事にしたのんも、この時からなんですわ。」

   「へぇ~そうやったんか…」 「でも、そのもう一人の洋子さんは…?」                                   「今はお母ちゃん一人やんか。 今の話聞いてたら……お母ちゃん一人で大変なんやろなぁ。 昼も夜もで……。」

  「大変と云えば大変ですけど、一人になってから、店じまいの時間を早うしましてん。」                          「そうしたら、逆に昼に営業してる事が幸いして…準備を含めて効率良くなりましてなぁ…。」

  「ふ~ん。 …で、二人が一人になったんは…?」 
 
 「それがね…洋子ちゃんに人も羨むような縁談が持ち上がりましてなぁ。 大学出の、貿易関係の仕事してはる人でした。」    「戦前からある大きな会社で…戦後さらに大成長してたようでしたわ。 そんな人に 洋子ちゃんがみそめられて……」

    「ミソメラレテ……って?」

 「気に入られるって事ですわ。 …まぁ、好きになったんやね。 それで在る人を介して縁談を申し込んで来ましてん。」       「これには、おじさんもおばさんんも…親戚中でも大喜びでしたわ。」 「でも、お母ちゃんには、洋子ちゃんだけがなんか暗い顔してるように思えて…『ええ話やないの、お店のことなんか心配せんと…おめでとう。』…って言いいましたんや。」             「実のところ、お母ちゃんの感は当たってたんやけど…洋子ちゃんの心配は、お店の事だけとは…いえ、お店より大事な事がありましたんや…。」

      「……それで…?」

  「お母ちゃんも、全く知りませんでした……。」                                                  「ほんまに知らんかった…洋子ちゃん、好きな人が…将来を約束してた人が居てたんですわ。」                     「手紙には丁度、打ち明けようと思ってたところやったと書いてましたけど…みんなが縁談話に盛り上がってしもうて…打ち明ける事も、縁談を断る事も出来んようになってしもうたんやろね。」

     「手紙って…洋子さんの…?」

  「ある日突然でした……。」                                                              「日付は忘れましたけど、次の日に結納やって云う日でしたわ……その手紙残して、駆け落ちしましたんや。」

 「うわ~っ、お母ちゃんも、積極的やと思うたけど、もうひとりの洋子さん…勇気と根性のある人やったんやね。」

  「勇気と根性なぁ…あんた、駆け落ちの意味は…まぁ理解は出来てるようやけど…。」                          「勇気や根性なんて事よりも、洋子ちゃん自身…ものすごく辛い思いしたんやと思いますよ。」

   「それで、お母ちゃんが……けど、洋子さんのおじさんとおばさんは…?」

 「それが一番辛かったはずや思います。 体の不自由なおじさんと、手足になって面倒みてるおばさん残して…それでも好きな人と…いや、自分に嘘をついてまで、好きでも無い人と一緒になる事なんて出来んかったのかも知れんね。」

     「うちかて、そんなん絶対いやや…。」

 「うん、そうやね。 でも、周りは、そら大騒ぎになりましてなぁ…おじさんもおばさんも、あちこちに頭下げて…謝れるだけ謝って、逃げるように田舎へ帰って行きはったんよ。 居てたくても居てることが出来なかったんやろね。」                    「お店は、私が続けられるのなら続けてって言うて、ちゃんと手続きして譲ってもらいましたんや。」

 「ふ~ん、よう分かったわ。 せやけど、おじさんとおばさんには気の毒やと思うけど、なんて言うか、うちには悪い話には聞こえへんかった。」 「夕子、間違うてるやろか?……それに、…それで、その洋子さんは幸せになれたんやろ…・?」

 「もちろんや。 夕子の言う事も間違うて無いと思います。 しばらくは、居所も判らんって騒いでましたけど、お母ちゃんには手紙をくれました。」 「いまでも、やり取りは続いてるんやで。 家庭を持って、子供も出来て…ほんまに幸せに暮らしてるそうです。」「いまでは、おじさんとおばさんにも連絡が付いて、孫の顔も見てもらえたそうですわ。」

     「…そう…良かったやん!」

   「ほんまに…ほんまに、良かったです…。」                                                   「お母ちゃんなぁ、この話…おじさんとおばさんの事を聞いたときには、心から運命に感謝して、ホッとしたもんですわ。」

  「あっ、これで、お店もお父ちゃんもお母ちゃんのもんに成った分けや。」                                  「そら、自分だけ幸せやったら気まずいもん。 …運命に感謝して、ホッとするの解かるわ~~。」

  「ちょ…ちょっと……その言い方はやめて欲しいわ……結果は夕子の言う通りですけど…。」


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コメント

洋子さんが縁談相手の人と、今も仲良く暮らしているという結果でよかった。

これが、もし、結婚相手がひどい人だったら、洋子さんがかわいそうで仕方がなかった・・・。

ご無沙汰してます。

ちょくちょくブログ拝見していましたが、更新スピードすごいですねぇ。

これだけの文章を毎日のように書いておられるバイタリティのすごさには感服してます。

私の小説はのろまな亀状態ですが、これからも更新していきますので、時々見に来てくださいね。

取り急ぎご挨拶まで。

そうでも無いですよ。

ラ コンシェル さんいつも有難うございます。

誰もが同じで、筆が進む時は進むものですが、ひとたび止まってしまうと…ピタっと…そういうもんです。
私も亀になったり、ウサギになったりしますので、これからも宜しくお願いします。

おじ さん、有難いです。

おじ さん、いつも有難うございます。

コメディーなので、基本的に悪い人は出てこない、ハッピーエンドで終わる、と云う事にはなると思いますが、とにかく状況説明の無い、すべてを会話で進めて行く事にこだわっていますので読みづらい処もあるでしょうが、今後も応援を宜しくお願い致します。

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Re: 小説投稿のお誘い

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御丁寧な挨拶と紹介を頂きまして有難うございました。

昨日は余裕が無く申し訳なく存じますが、今日、早速の登録及び利用をさせて頂きました。
今後とも御指導を含め宜しくお願いを致します。
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