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夕子、西成区花園町在住。 第21話        (カレーライス 前編)

       「夕子、出かけるんか…?」

  「うん、お母ちゃんに髪の毛切ってもうんねん。 きのうから約束してるんや。」

    「お前、その頭で…どこを切るつもりなんや。」

  「よう言うわ。もう、伸びてきて、気になってしょう無いねやんか。」

「俺も、夕子の短い髪の毛、よう似合うてるし好きやけど、どんどん短かなっていって、そろそろ限界やで、そうやのうても…」

    「そうやのうても…?…って…なに?!」

 「い…いやっ、夕子はどないしても、可愛いべっぴんやけど、ちょっと…その…なっ。」                           「もうええ、お父ちゃんの言いたい事は判ってる。 うちかて女や、大人になる時までには女らしなってる…はずや、たぶん。」

    「なぁ、お母ちゃん、今度一回、カレー食べさせて?」

 「あん、動いたらあかんやんか…カレーですか? 前から言うてるわねぇ…カレーってお店では使わへんからなぁ。」

     「ほんなら、オムライスでもええけど…?」

     「オムライスなぁ…釜めし飽きたんか?」

 「釜めしは永久欠番や。 けど、たまにはお母ちゃんのカレー食べたくなるんや…百歩譲ってオムライスやねん。」

  「…解かりました。 百歩譲らんでよろしい。 今日、これから買いもんして、家へ帰って作ったげる。」                 「夕子は先に帰ってお父ちゃんとお婆ちゃんに…『今晩のメニュー決まったで。』…って言うといて。」

      「うん、わかった。 ……けど、ほんまに…?」

「これ、振り向かんと、動いたらあかんて…もうちょっとなんやから…そんなにびっくりせんでもほんまですよってに、約束します。」  「…はい、終わったで。 よう払っといたけど、今から晩ご飯までにお風呂行っとくんやで。」

      「うん、お婆ちゃんも誘うて行っとくから。」    

  「切っといてから言うのもなんやけど…夕子、ちょっと短か過ぎるんと違うんか…?」                          「よう似合うてるし、お母ちゃんは好きやけど……。」

  「もう、お母ちゃんまで…似合ってるんやったらええやんか。 お父ちゃんもおんなし事言うんや。」                   「…なぁ、女の色気ってどう云うことなん?」

    「えっ、急に何言うの。 御免やで、気に障ったんか…?」

  「ちがう。 髪型とは別の話や。 まぁ、ちょっと引き金にはなったけど。」

 「急に言われても困るやんか、一言では言われんへんわ。」                                          「それにお母ちゃんかて解かってるのか、解かって無いのか…それも解からへん…… 夕子はなんか思う事あるのんか?」

「夏休みのプールで思うたんや。 授業では同じクラスの子としか泳がへんけど、夏休みは学年なんか関係無しやったから…」  「…5年や6年のお姉ちゃんて、全員とは違うで…数は少ないんやけど、すごいボインな人とか居てるねん。」             「ほんでな、同級生の子も夕子のように洗濯板みたいな子ばっかりや無い事に気がついたんや。」

       「それで…?」

 「べつに、羨ましい分けでも、なりたい分けでも無いんやけど…重たそうやし、邪魔にもなりそうやし……なにより走ったら揺れるやんか…男子みたいには騒げへんけど、うちも女やのに、ちょっと目がいって…『うわっ』…って思うてしまうねん。」

  「夕子ぐらいの年の子やったら、男の子が騒ぐんも、あんたが 『うわっ』 って思うんも当たり前と違うんかなぁ。」

   「お父ちゃんが立ち止まって見るポスターの女の人かて、みんな大きな人ばっかりやしなぁ…」

 「お父ちゃんは特別…いや、男は死ぬまで騒ぎよるんや。」 「お父ちゃんの話は置いとき!ややこしなる。」

   「……うん、わかった。」   後篇へ続く・・・
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コメント

初めまして。西成、花園町と聞いただけで懐かしくなります。私も、隣の長橋通りに昭和44年に1年ぐらい4畳半のアパートに住んでいました。近くに肥料工場があり臭いが大変していた記憶があります。花園商店街通って地下鉄に乗りに行っていました。貧乏で大変でしたが人情あふれる町だったように思っています。出城のモーター屋さん、靴屋さんにはとってもお世話になりました。先日も、玉での食堂をやっている方を尋ねた帰りに寄って探してみましたが、今はどちらもありませんでした。結婚生活スタートの懐かしい地です。物語読ませていただきます。

有難うございます。

有難うございます。なにより嬉しいです。

鶴見橋界隈には多くの友達がおり、出城の公園では、小学生の頃、よく野球をやりました。当然、靴屋の友達もいっぱい居ていました。
そういえば、私もそのころは意識してなかったので、向こうも私の事など覚えていないと思いますが、赤井秀和さんは、中学の二つ下の後輩でした。

これからも、夕子とマサの活躍をお楽しみ頂ければ有難いです。
よろしく、お願い致します。

家族との会話面白いですね!

後編が楽しみです!

おじ さん と呼んでいいのですか? 有難うございます。

有難うございます、すぐに更新しますのでお楽しみに…。

今後とも宜しくお願い致します。
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