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夕子、西成区花園町在住。 第17話      (もしもし、洋子です…)

     「はい、もしもし、【洋子】です。」

 「お母ちゃん、うちや。 夕子や、いまから行ってもええやろ?」

 「…えっ…??……それはええけど……電話って…もしもし、夕子……夕子……」

  「お母ちゃん、入るで~~びっくりしたやろ…? …家からやってんで。」

      「電話なんかいつの間に…?」

 「きのうからや。 びっくりさせよ思うて、黙っててん…うちにしたら、ごっつい我慢が必要やったわ。」

  「そうやったんか。 もう、なんにも言わんと…たしかに、びっくりさせられたわ。」

 「へへっ、成功…成功…。」 「お母ちゃんとこはお店やからずっと前から電話あったけど、家にはやっとやわ。」           「もうクラスでも半分以上の家に電話あるから欲しかってん。」 「お父ちゃんが仕事で使うんやて…特に、例のやつ。」        「あれは時間を決めて、予約制にするらしいわ…別にいっしょやと思えへん?…やめるんやったら話は別やけど…」

「お父ちゃんにはお父ちゃんの考えがあるんよ。 それから、いつも言うように、夕子はいらん事考えんでもええから。」           「なぁ、夕子…電話のほかには話はないんか?」

  「えっ、そんなん無いで。 これを黙っとくのに苦労したぐらいやのに……。」

       「そうですか………。」

    「お母ちゃんこそ、どうかしたんか…?」

「いえ、別に…まぁ、夕子には言うてもええかなぁ…」 「この頃、お父ちゃん…飲んで夜中に帰ってきたりする?」

 「そんなん、こないだも、家の鍵まで失くしてきて…せや、ちゃんと見つかったんやろか…?」

     「それ、いつの話…?」

 「え~っと、そうや、夏休み前やったから、一か月以上になるわ。それからは、あんまり覚えが無いなぁ…。」             「しばらく大人しぃしてるんや…ちょっとは懲りたんとちゃうか?」                                        「それとも、鍵が見つかって無いのやったら大変やで…二度と入れたれへんって言うたし……。」

      「その鍵やけど、ここにおますねん。」

   「ええ~~っ、ほんまに!…なんで~!」 「お母ちゃんが見つけたったとか…?」

 「ちゃんとお父ちゃんが自分で持ってきたんよ。」 「洋子、お前に預けとく。 …って。」

       「それこそ、…いつ?」

 「鍵を見つけたその足で…夕子のお陰ですぐに見つかったって言うてたよ。」

       「それから…なんて?」

   「あいつは、ほんまにしっかりしてる。 お前にそっくりや…って。」

「ちがう、うちの話やのうて…その、お父ちゃんの気持ちや。 どういうつもりで…帰ってきて欲しいって意味と違うのんか?」

 「どうやろか、鍵やったらお母ちゃんも持ってるし、今回はちょっとだけ違うんとちゃうやろか…。」

     「ほんなら、ほんまにお父ちゃん、よっぽど懲りたってって事?」

     「うん、それは勿論…でも、それだけでも無いと思うよ。」

  「うちや、おばあちゃんに迷惑かけんように気をつかって…?」

   「それは、まぁ…思いっきり在るんとちゃう?」                                                 「でも、とにかく家の鍵はお母ちゃんが持ってるから、夕子は心配せんと、しばらく知らん顔しといたって…なっ。」

  「うん。」 「…うん、判った。」                                                            「言われてみたら、しばらく飲みに行っても帰りがはやかったんは、そうやったんか…鍵はお母ちゃんがもってるし……。」

     「そう…そうですねん。」

  「うち、なんでやろ…」 「うちなんか、ごっつい嬉しい気持ちになってる。」                                 「この話、うちにはなんか…ものすごく嬉しい…ええ話やったわ。」

   「よかった、夕子に話して。」

 「うん、お母ちゃんありがとう。」 「電話が幸せ運んできたわ。 けど、鍵の事、黙っとくんは、うちには結構、つらい話やわ。」             (でも、お父ちゃん、ほんまにどう云うつもりで…)

   「夕子、どうする?ちょっと早いけど、晩ごはん食べていかへんか?」

 「う~ん、食べたい気はするけど、おばあちゃん用意してくれてるから。 今日は帰るわ。」

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コメント

あめま~(∵)

いまは携帯でも時代遅れ観なのに、固定電話が珍しい昭和40年代ですか!
弘さんのストーリーはほとんどが会話形式ですよね。
そこになにか意図があるのですか?

こだわっいるんです。

あめちゃん、よくぞ気づいてくれました。

実はこだわっているのです。物語の最初にすこし出てくる以外は、文章による状況説明や背景の説明を無くして、会話の中でいろんな事が見えてくる、そして繋がっていくと云う事に挑戦しています。

コテコテの大阪弁と云う特殊性も在りますが、こうする事で、話自体が短縮され、やりとりそのものをじっくり楽しんで頂けるのではと…。
長くなって御免なさいね、これからも仲良くして下さい。
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