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夕子、西成区花園町在住。 第12話    (お~い、開けてくれ~…)

    「おーい、開けてくれ~。」

     「……?……」

  「おーい、おれや~開けてくれ~~。」

 「お父ちゃん、どないしたん。…うわっ、お酒くさっ…いったい、いま何時なんや、えらい酔っぱろうて…はよ、入って。」                 「夜中の1時やんか……はい、水…。」

「ふ~。ありがとう、夕子…」 「そんなに酔うてる訳やない… ただ、鍵が、家の鍵がどこを探しても見つからんでなぁ…」

 「もう、しゃあないお父ちゃんやなぁ。 …鍵なんか無くしたら…どこの店で飲んでたんや…?」

   「…あほ、こんな時間からお前に行かせるわけにいくか。」

 「アホはお父ちゃんや、誰も今から行くなんか言うてへん。」                                          「寝たら忘れるやろ、記憶の在るうちに聞いとかんと…どこの、なんて言う店やのん?」

「…わかった。正直に言う。…明日は休みやから、まずはいつものメンバーと松喜寿司で飲んだんや。」

 「正直に言うって…松喜寿司やな、ほんで誰と飲んだんや?…果物屋のおっちゃんか?…ツジタのおっちゃんか?」

   「…わんっ…どっちもや。」

 「…わんっ…て、正解って意味のつもりか?…ほんで、それから…?……。」

「洗濯屋のシゲまで来よってなぁ、盛り上がってしもうて、旭町のバーへ行ったんや…ちょっと水…ほんならそこで昔から知り合いのヤクザが3人、 いや4人かな……またまた大盛り上がりや……。」

 「ヤクザって誰?…勝っちゃんのおっちゃんか?…なぁ、寝たらあかんて。」 「…あかん。限界や…。」                  「まぁ、あした…今の話したら、なにか思い出すやろ。」 「うちも寝とかんと…明日が日曜日でよかったわ。」


      「お父ちゃん。 …おとうちゃんって…。」

「まいった…俺の負けや。」 「聞こえてるから大きな声だけは出さんといてくれ…実はちょっと夕べ飲み過ぎたみたいで、二日酔いなんや…」

   「どこまで、覚えてて、どこから記憶が無いんや…?」  「家の鍵は…?」

  「…ん…???…家の鍵…?」                                                            「うっ…あっ、とっ…と…急に起きたら頭が…無い。…いや…頭はあるけど…鍵が無い…夕子なんで…?」

     「案の定やな…まぁ座り…松喜寿司は…?」

「ああ、覚えてる。果物屋と、ツジタと、…シゲが後から来よって…え~っと…」

     「いつも通りに盛り上がったんやろ…?」

      「うん、うん…そうや。」

       「それから…?」

     「…ん~~………?……」

 「やっぱり、この辺が限界みたいやな。…まぁ、これもいつもの通りや。」 「なぁ、いつも言うてるやろ。1軒目は…1軒だけ…やったら、記憶無くしてもどうにかなるんや…2軒目、3軒目になったら、限度を考えて飲まんとあかんって…」

    「わかってるって…。」

       「わかってへん‼」

 「…わかってない事に…今、気が付きました…。」

 「…ええか、松喜寿司で盛り上がって、旭町のバーへ行ったんや…そこで、昔から知り合いのヤクザ…3人か4人かと合うて、また大盛り上がりした…と、うちが聞いたんはここまでや。 …ここで、お父ちゃん力尽きて寝てしもうた。」

「面目ない…でも、ちょっとは思い出したわ。勝の親父さんらと合うたんや。…あと、剛が居ったような、気が……。」

 「やっぱり…」 「だいたい元警官がなんでヤクザの友達ぎょうさん居てるねん。」

「元警官やからかもしれへん。…警察関係で付き合い在るのは、あの串カツ屋の辻先輩ぐらいや。」                  「ヤクザの方が断然多い。…現役もOBもいてる。みんな仲のええ友達ばっかりや…夕子はそんなお父ちゃん嫌いか…?」

    「ぜんぜん厭とちゃう。…ちょっと不思議に思うただけや。」                                         「刺青さえ見せびらかせへんかったら、ほんまにええ人ばっかりや。…とくに、そんな人らのおばちゃんがええ人そろてる。」     「とにかく、これをヒントに鍵、探しといでや。…次は家に入れたらへんで。」

   「わかった、昼からな。心当たりは出来たし…もうちょっと寝る。」

   「あと、20分で12時…もう、りっぱな昼や!…起きっ!」

       「あっ、まくら…夕子、そんなっ、まくら~~……」
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