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夕子、西成区花園町在住。 第11話   (おい、青田と藤川…学校にて)

 「お~い、青田と藤川…お前ら二人、幼馴染と云うのは解ってるけど、昼休みまでいっしょに居るって…実は相思相愛なんとちゃうんか…?」 「うわっ‼……いきなり靴飛んでくるか~?」

 「おい、今、言うたんどっちや?…斎藤か、井上か…?」 「まぁ、声の感じで斎藤って判ってるけどな。」

     「マサ、ほっとき…。」

 「ええっ、ゆ、夕子っ、ど~してん。いつもやったら、俺より先に動いてるはずやん。…お前がそんな事言うたら、俺の靴の立場はどうなるねん。」 「こいつら避けよったから、もうちょっとであそこの水たまり…危ないとこまで行ってるやん。」

  「ほな、入って無いと云う事やろ…?早よ…ひろといで。」 「あんたらも、構わんとって。」

 「お前ら、今日の夕子は元気が無うて助かったなぁ。」 「いつもやったらボコボコやで…俺は…俺はまぁ、ええねんけど、あいつこんな話は一番嫌いよる。 …なぜか…相手が俺の時はなおさらや…俺は別に…い、痛っ‼ 」                          「お前、後ろ向いてる人間にそれは無いやろ。」

 「いつまでも、しょ~もない話してるからや。…さっさと自分の靴と、うちの靴ひろて帰っといで。」

   「俺の怒りは、お前ら2人に付けとくからな。 …はよ、どっか行け。」

 「ほい、…お前この靴、お気に入りのやつやないか、投げたりしてええんか…?」

 「たまにはマサも、ええつっ込み出来るやんか。…投げたりしたんはアカンけど、お母ちゃんが誕生日に靴買うてくれてん。」              「…せやから、そっちがよそいきで、この靴は学校にも履いてくるようになったんや。」

    「ふ~ん、…嬉しそうやな。」

  「めっちゃ嬉しいねん。」 (でも…投げたりして、ゴメンナサイ…)

   「…えっ、なんか言うた…?」

  「なんでもない。 …さぁ、5時間目は大好きな体育や。」

 「どっちにせよ、夕子の元気が戻ってよかったわ…なぁ、きのう、小遣いもろたから…帰り道…芳月のアイスクリーム買うて帰らへんか…。」

         「…マサのおごり……?」

   「ふつう、そのつもりや無かったら、言わへんやろ…。」

 「そんなん言われたら、マサの事ちょっと好きになるやんか。」

    『…‼…』 「…百点満点で言うたら……?」

         「2点。」

    「もともと、なん点やったんや………。」

お好み焼き屋【芳月】は、小学校を出て30m…ちょうど二人の帰り道にある……決してこれが…絶対にこれが…何があっても、寄り道になんかになるはずがないと…信じて疑わない夕子と昌幸……二人の幸せは…もはや…直前に迫っていた……。

      「おっちゃん、大きいの二つ。」

  「はいよ。藤川君のおごりみたいやな、いょっ、男前!」「いつもおおきに~。」

 「歩きながら食べたら怒られるから、マサんとこ寄って食べていってもええか…?」

  「噛みついたり、殴ったり………蹴ったり…あやまってるのにシバキ回したり…せえへん?」

   「いま、ここで答え出したろかっ‼」

  「一生…判らないままで…いいです……もうすぐ着きますので…。」

 「マサはそのまま、かぶりつくタイプやったなぁ、うちは、こうやって、もなかの皮をはがして…皮ですくいながら食べるんや。」

     「どないして食べても、味は変わらん。」

        「変わる!」

  「…変わるような気もする…けど、とにかく…芳月のアイスは最高や。」

 「うん…。」 (マサ、ありがとう。いつか、うちも、野口のお好み焼とセットでおごったるから。)
      
お好み焼き屋の【野口】と【芳月】…ごくごく近くで共存する2店舗…なぜか、お好み焼きは野口…アイスクリームは芳月と、なんら大した理由も無いままに…都市伝説ならぬ、夕子と昌幸…二人の、これまた信じて疑わない…掟としての決め事なのでありました……。
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コメント

はじめまして
作品の会話テンポがいいですね。
読んでいても威勢のいい話声が聞こえそうです。

コメント有難うございます。

訪問、コメント有難うございます。

会話だけで物語を進めて行く事にこだわっているので、とても嬉しい書き込みでした。

今後ともよろしくお願い致します。
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