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夕子、西成区、花園町在住。 第9話       (夕子、新世界へ…前編)

 「ぎょうさんの人が居るけど、なんか前に来た時より、日曜日にしたら、空いてる気がするわ。」

「日曜、祭日は、日雇いのおっちゃんらが休みやから、あちこちで昼間から飲んでるんやけど、この頃は工事が多すぎて間に合わんで、日曜日も祭日も無いらしいんや。」

「飛田のお姉ちゃん情報か?」

「嫌味な言い方する奴っちゃなぁ。それも在るけど、お父ちゃんも元警察官や、いろんなとこから情報は入ってくる。」

「ふ~ん。で、今日はどの店入るん?」

「うちのお得意さんの辻さんとこや。どうせやったら・・・なっ、そう思うやろ?」

「当たり前の話や。そう思えるんが、うちとお父ちゃんの似てる処やって、お母ちゃんが言うてた話やな。」「お父ちゃんには何んの話か判らへんやろ?」

「夕子が俺とおんなじで、誰とでもすぐに友達になれて営業向きや言う話やろ。」

「へぇ、知ってるんや・・・」「お父ちゃん、時々お母ちゃんの店に行ってるらしいなぁ。」

「・・・・・」

「それこそ、なんで知ってるんやって感じやなぁ。」「お母ちゃんの方からは来えへんのに、お父ちゃんの方からは行くと云う事は・・・お父ちゃんはお母ちゃんの事が今でも好きやと云うことやんか。せやのに、お母ちゃんが出ていく原因作ったんもお父ちゃんやねん。やっぱり、ここが問題なんや。」

「夕子、ゴチャゴチャ言うてる間に着いたで、はよう入り。」

「なぁ、お父ちゃん。うちの話聞いてた?」

「・・・聞いてた。さぁ、好きなもん、好きなだけ食べよ。」

「おっと、いらっしゃい。娘さんといっしょかいな、ありがとさん。」

「こっちこそ、いつも有難うございます。」

「あらたまってなんやねん。」「お譲ちゃん、ワシも元警官やったんや、サブよりだいぶ先輩やけどな。」

「えっ、そうなんですか・・・」

「まっ、昔の話や。さぁ、なににしはる?」

「サブちゃんはビールやな。お譲ちゃんにはバヤリースをおっちゃんが奢ったろ。」

「あ、ありがとうございます。」

「辻のおっちゃんは、どうして警察辞めたんですか?」

「色々在りすぎて忘れたわ。よそと違うてな、ここらは特別なところなんや、でも、ここが好きやから、警察辞めてもここで商売してるんや。お父ちゃんかてそうやろ?」

「うん・・・はい。判りました。」

「ふふっ、判らんでええ。もしかしたら、そのうち判るかもしれんけどな。」「さっ、しっかり食べてや。」
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