FC2ブログ

夕子、西成区花園町在住。 第6話       (夕子とマサ、下校時)

  「いよいよ本格的に暑うなって来たなぁ…… なぁ、夕子聞いてるんか…?」

 「ああ、ゴメンちょつと考え事や…橘君のお誕生日会に誘われたんやけど……うち、あの子ちょつと苦手やねん。」

    「なんで…?」

 「なんでって、うまいこと言われへんけど何んか合えへんて言うか、ちょっと人種が違うみたいな……。」

 「俺は同じクラスになったこと無いから、よう判らんけど、医者の息子やからな、勉強もずば抜けて出来るらしいやん。」

 「せやねん。 考えようでは悪いとこ無いんや…性格もまぁ普通やし、運動も普通に出来る…マサとは全く違う生き物や。」

  「俺かて、タコがいてへんかったら、走っても何でも…勉強以外は一番やで。」

 「それも、ほんまや。 マサかて、アホ過ぎる以外は悪いとこ無い…しかし、それが決定的なマサのウィークポイントや。」           「…お前、今、タコ言うたやろ!」

  「聞き逃せへんなぁ、…で、なんやそれ? …ウィ~~~~…?…」

  「弱点って意味や。」

 「俺の弱点はアホ過ぎるとこてか? 認めた無いけどしゃあないな……夢は体操のオリンピック選手や。頭は要らん。」

 「一流選手は、どんなスポーツでも頭も悪ないってお父ちゃんが言うてた。 …要するに、どんくさい奴は、頭もどんくさいんやって…ひどい奴は顔 までボ~っとしてるらしいで。」

 「ほな、俺も頑張ったら勉強も出来るようになるかもしれん…と云うこっちゃな。」 「柔道4段のおっちゃんが言うんや、間違いない……。」

 「マサのええとこは、そのプラス思考やな。」 「ただ・・・とっくに自分の家通り過ぎてるやないか。…ハハハ…ほんまにアホな奴っちゃなぁ~」 「ほな…バイバイ~また明日な~」

 「…あ~っ……うん…バイバイ……また明日。」


 「あっ、お母ちゃん…帰ってきてくれたんか?今、お父ちゃん居てへんけど。」

 「知ってます。そこで、飲み友達と銀パレス入って行くの見ましてなぁ…せやから、しばらくは帰ってけえへんやろから、ちょっと夕子の顔を見てから行く事にしましてん。」

  「そうやったんか、やっぱり、お父ちゃんには逢いとうないんやなぁ……。」

  「そういう訳でも無いんやけど、何か気まずい気がして……。」

  「なぁ、お父ちゃんって、そもそも、なんで警察官辞めたん…?」

  「さぁ、なんでやろね。お母ちゃんにも判らへんの…あんなに制服似合うてたのに。」

     「そこに惚れたんやろ?」                                                                                
   「ほんまにカッコよかった…」                                                                「正義感のかたまりって感じで、イキイキしてはった。それやのに、ある日突然な、『警官辞めてきたから』…って…。」

    「ほんで、お母ちゃんは何んて言うたん?」

   「ん、なんにも…『ああ、そうですか?』…って…」

     「そんだけ…?」

     「はい、そんだけ…」

   「なんでか…気にならへんかったんか…?」

 「そんなん、どんな理由にせよ、この人が決めた事や、仕方ないですやろ…って思いましたんや…。」

 「うちも何となくお父ちゃんの制服姿は覚えてるねんで、特に、着てるとこより、ハンガーに掛かってるとこのイメージが残ってるんや。」

 「…まぁ、それから、柔道を活かせるように、指圧や鍼灸の勉強しはってなぁ、この通りですわ。」 「とにかく、夕子が元気そうで良かった…ぼちぼち帰りますわ。」 「今度は、いつお店に来る気やろか…?」

 「毎日でも行きたいんやけど、やっぱりのんびり出来る土曜日やわ。」

   「サラリーマンみたいな事言わんとき。」

 「なぁ、今度、マサ連れて行ってもええかなぁ…あいつ、お母ちゃんの料理食べたい、食べたいって、うるさいねん。」

   「いつでもええよ……ほんなら、次の土曜日…決まりやね。」

    「うん、判った。マサ喜ぶわ。」

 
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント