制服と割烹着(夕子と昌幸・青春篇)  最終話


 「なぁ夕子…夕べ、昌幸の奴、店に来んかったけど、今日の予定は?」

「昨日は、オリンピックの話題で持ち切りやったやろ? 在る意味…みんながマサを待ってて……来たら、慰めたろうと思うてたと、思うんや。」「マサもそう考えて、店に来るのは控えよったと思うわ…もうちょっとしたら来るんと違うかなぁ…?…」


「覚悟は出来てたやろうけど、決まったら……やっぱりなぁ…」

「夕子あんた…昌幸くんと電話だけでも話しをしたりしてませんのか?」

「…してない……あいつやったら大丈夫や。」「お父ちゃんが言うた通り、覚悟は出来てたからな…」「世間の人は、急なニュースで『晴天の霹靂』のように言うけどな………諦めては無かった…けど覚悟はしとったんや。」


「決定するきのうまで……かえって辛い思いをしてたんと違いますやろか?」

「それは……わずかな望みは持ってたやろうけど…何一つ変える事なく頑張りよった。気持に迷いは無かったと思うで…」




 「おはようございます……その顔は、皆さんお待ちかねのようで……」

「…おう昌幸、まぁ……なんや…」

「なぁマサ……別に誰も待ってへん。早よ上がっといで。」

「うん……いや夕子、ちょっと待ってくれるか……」「先生も、おばさんも…俺はその…ショックは確かですけど、落ち込んだりはしてませんから…今まで通りやるだけです。」


「ん…せやな、わかった。」



 「あんたより、周りの人の方が気を使うて大変そうやなぁ…」

「…お前の周りには残念がってくれる人は居て無いんか?」

「アホっ…きのう、マサが来んかったから、お客さんからの慰めを一人で引き受けたったんやで…大変やったわ。」


「せやろなぁ……そう思うて、きのうは遠慮したんやけど、お前には悪い事したなぁ。」


「ほんまやで…お客さんだけや無うて、朝から電話も鳴りっぱなしやったわ。」

「まぁ、それは俺の方も一緒やった…」「なぁ夕子、ええ話も在るやないか。小西先輩と伊藤ちゃんの結婚が決まったんは聞いてるやろ?」

「聞いてる! あんたはいつ聞いた?」

「きのうや。小西先輩…慰めるつもりやったんか、ノロケるつもりやったんか…?」


「なるほどな…うちは3日ほど前やったから盛り上がったけど、小西さんも昨日で無かったら、もっとノロケてはると思うで。」


「まぁ、そうやろ…ほんまやったら、こんなめでたい話は無いもんな。」

「タイミングの問題や…仕方ないわ…」

「タイミングなぁ…逆に、小西先輩に悪い気がするわ。」

「それも仕方無いけど、ようはマサ…あんた次第や。あんたが落ち込んでたら、周りも暗くなってまうやんか……大丈夫なんやろ?」


「任しとかんかい、心配いらん。」

「それでこそマサや……予選敗退とは違うからな……うちは慰めたれへんで。」

「それでええ、慰めてなんかいらん。なぁ…今回はアメリカとお手々つないでボイコットしよったけど、その4年後はロサンゼルスなんやと…笑わせてくれるやろ?」

「ほんまやなぁ…4年後にはソ連がボイコットしよるんやろか?」

「ん~それは、今の俺には分かれへんけど……スポーツには国境が無いと思うてたからな…それについては…残念としか言いようが無いなぁ。」


「せやなぁ…それにアスリートにとっての4年間は大き過ぎるもんな……」

「確かに…せやけど、俺は負けた訳とは違うからな。」「知ってるやろ? 連勝記録バク進中やったんや…」


「うん、もちろん知ってる……よう頑張ったやんか。」

「うん、けど…これでまだ頑張れる……このままでは終わられへんからな。」「なぁ夕子、勝手な話かも知れんけど……もう4年待ってくれへんか?」


「ほんまに勝手な話や。それはあんた次第で…いくらでも頑張ったらええ。けど、うちはもう待たれへん。」


「……そ、そうか…待ってくれへんのか。俺が悪いとは思わんけど、約束やからな。俺の口からは2度と言わへん。」


「せやから…うちが言うたるわ……マサが厭やなかったら、嫁にもろうてくれへんか? どないしても、オリンピックに行ってからでないとアカンのか?」


「あ…アカンはず無いやないか…けど本気か? オリンピックに行けたらって約束はまだ果たせてないんやで。」「代表になれた時だけと違うたんか?」


「そうや。もし代表選で負けてたら、あっさりサヨナラしとったわ。」「けどあんた、この4年間1回も負けて無いんやろ…よう、頑張ったやんか。」


「それは胸を張って言えるで。あの時にも言うた通り、俺の人生で一番気合の入った4年間やった…間違い無い。」


「お母ちゃんにも言うた事が在るんや…あんたが、人参無しで走る馬とは思うて無いんやけど…もしかしたらゴボウの為には走るかも知れへんやろ?」


「だいぶ白いゴボウになったようやなぁ。」

「せやねん。高校を卒業して4年…うちも地は白いのが判ったやろ?」

「せやなぁ、秋田美人とは言わんけど、南方系は抜け出したな。」

「あと、うちに必要なんは色気だけやと思わへんか?」


「…いや、俺には十分・・・」

「もっと在ったら困るんか?」


「そ、それは嬉しいけど・・・」


 「ほな、子供でも出来たら、胸もふくらむとは思わんか?」




            ― 完 ―



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

お疲れ様でした!

毎回楽しく拝見していました!
すごく面白かったです。
最後はどうなるんだろうと思っていましたが、思った通りのエンディングに嬉しくなりました。
次回作に期待しております!

ヒデ王さん、ほんとうに有難うございました。

Twitterとフェイスブックでは既にお知らせをしてのですが、次回作『うちは夕子や!』が書き直しをしなければいけなくなり、しばらく更新が滞ります。

連載開始時には引き続きよろしくお願いいたします。

最後までお付き合い下さり、本当に有難うございました。

お疲れ様でした

お疲れ様でした。

いい最終回でした。マサも夕子も、これからもっと幸せになってほしいです。

マサには巡査部長くらいにはなってほしいですが……別な話になっちまいますね(^^;)

次回作にも期待しています!

ポール・ブリッツさん有難うございました。

最後までお付き合い頂き、本当に有難うございました。

少し時間は掛かりますが、次回作もよろしくお願いいたします。

ポール・ブリッツさんこそ意欲的に色んな作品を次から次へと感心して居りますが、今後とも益々のが活躍を祈念させて頂きます。

いよいよ最終回になってしまったんですね。
残念ですが、次回作がどのような展開になるのか、楽しみにしています。

zuboratarouさん、有難うございました。

ほんとうに最後までお付き合い下さって有難うございました。

次回作までは、少し時間が掛かるのですがよろしくお願いいたします。

おはようごいざます&お疲れ様です。

拍手コメにも入れさせていただきましたが、もう次を楽しみにしている自分がいます。

でも、まだとのことですので、しばらくはジワーんときた余韻に浸りながら再放送を楽しませていただきます!!

次回作はじっくりとお書きください!!

待ってますね!!

お疲れ様でした

朝ドラのような気持ちで毎回楽しく読ませて頂きました^^

omunaoさん、有難うございました。

Omunaoさんのような色々な分野で記事を更新出来る方がうらやましいです。

しばらく新連載までには時間が掛かりますが、開始時にはよろしくお願いいたします。

Plateauさんとても嬉しいです・・・有難うございました。

最後までお付き合い下さり、本当に有難うございました。

「朝ドラのように」と云うのは最高の褒め言葉だと受け止めたいと思います。

控えめなPlateauさん・・・あなたのブログも『 A級 』ですよ。

こんにちは。「キラキラ星」の苺パフェです。

素敵な小説をお書きになるんですね。
私も小説にチャレンジした事ありますが、
やはり自分中心になってしまうので、やめました。
こういうのもなんですが、会話文だけでなく、描写があると、初めての人でもわかりやすいと思います。
今回は、最初から読めなかったので、次回作に期待します。

乱文失礼しました。

苺パフェさん、有難うございます。

描写を大阪弁で綴れると良いのですが、標準語と混ざるのが嫌で、会話のみの物語にこだわりました。

標準語の物語も書いて居りますので、またご紹介の機会を考えたいと思います。

貴重なご意見有難うございました。

こんにちは~

見事、完結ですね。

続きを期待させる終わり方。

また、楽しい会話が続きますね(^^)

flowerhさん、本当に有難うございました。

最後までお付き合い頂き、本当に有難うございました。

少し時間は掛かりますが、次回作もよろしくお願いいたします。

こんばんは!

ここまで大阪弁が出てくる小説を初めて読みました!(笑)

標準語にはないテンポ、言い回し、とても新鮮で、何だか、二人の会話を傍で聴いているような感じにもなりました!

来週、大阪に出張(遊び?)に行きます!
新幹線の中で、もう一度読み返したいと思いま~す!



お疲れ様でした。

今晩は。
いつも楽しく拝見させて頂いてます。
これでホントにこのシリーズ最後なんですね。
時間を見つけて一昨日から読み返していました。
開始の頃が同じ時期で長く連載して頑張っていらっしゃる姿は私にとっての励みでもありました。
私の方の連載も来月頭には終わります。
お互い長い連載ですよね。
いつもテンポ良い運びに感心させられていました。

少し英気を養って、新作もまた頑張ってくださいね。期待しています。

お疲れ様でした。

マヤリモさん、有難うございました。

最後までお付き合い下さって有難うございました。

大阪へ来られたら、今度こそ新世界の串カツ・・・「 一番 」ですよ。

風波 涼音さん、有難うございました。

最後までお付き合い下さって有難うございました。

次回作『うちは夕子や!』は書き直しが必要になり、少し時間が掛かる事になってしまいました。

開始時には今一度のお付き合いをよろしくお願いいたします。

正直な感想言っていいですか・・・・・

一番最後にもう一言何か欲しかったです。
何か最後がしっくりしませんでした。

そのためコメントが遅れてしまいました。

次に続くのは分かっているのですが
この小説はこれで一応<完>ですよね。

う~ん!
どうでしょうか?

孝ちゃんのパパ さん…なるほど、そうですか・・・

種明かしでは在りませんが、最後の夕子の一言は物語を書きかけた時からなぜか決まっていたのです・・・自分の中で決めていたと言う感じですかね。

完結するに当たっては色々考えてはみましたが、結局、最初の思いが邪魔をしたと云うところでしょうか?

おおいに今後の参考にさせて頂きます。最後までお付き合い下さって有難うございました。

ぁぁ・・ とうとう読み終えてしまった(>_<)

電車の中で何度吹き出したことか・・。
娘に「ママ、携帯見ながらなんでニヤニヤしてるの?」
なんて突っ込まれつつ・・。
ホントに楽しく読ませて頂きました。(笑)

お母んになった夕子。
ますますパワーアップしそうですね^^

「うちは夕子や!」執筆中とのこと。
心から楽しみにしております♪

akoさん、本当に有難うございました。

最後までのお付き合い、本当に有難うございました。

頑張って居りますが、公私共々忙しくも在り苦戦しております。

時間は掛かりますが、どうか楽しみにお待ちください。

はじめまして

お書きになってから丸3年ほど経過して今さらですが、お疲れ様でした。
こちらに来たら1訪問1話というペースで見させていただきました。面白展開、くすぐったい話など色々あって楽しかったです。まだ、最新に追いついていませんけどね(^^;

ランキング参加中です・・・

だから…是非!ぜひ!お願い・・・!
プロフィール

弘と書いてひろむと読みます

Author:弘と書いてひろむと読みます
主人公の夕子と昌幸は作者と同級生と云う設定。          ディープな町、西成区花園町の世界を御堪能下さい。

マイカウンター
1話~最新話 の一覧
出来れば最初から読んで下さいね。

全ての記事を表示する

最新記事
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧

ヒゲ爺の独り言

オムライスのある風景
月別アーカイブ
フリーエリア
フリーエリア
検索フォーム
ランキング参加中にて・・・
カテゴリ
リンク
フリーエリア
出来る事なら・・・お願い!
最新コメント
RSSリンクの表示
最新トラックバック
QRコード
QR