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制服と割烹着(夕子と昌幸・青春篇) 第51話


 「子供の頃は正月ほど楽しみなモンは無かったのに、今は何とも思わんようになってしもうたなぁ……」

「それはあんたが盆も正月も無い仕事やからやないか。うちは年末の忙しさから抜け出せて、やれやれなんや…今は、正月が一番のんびり出来て大好きやわ。」

「俺も嫌いやないけど…なんか『ウキウキ』するモンが無いと云うか……」

「あんたは、正月と運動会が好き過ぎたからそう思うんや。普通の人は、大人になったらそれで当たり前の事なんや。」

「当たり前かも知れんけど…俺は正月が楽しいと思われへん自分が嫌いやねん。」

「思いっきり、マサらしい考え方やな……うちは好きやで、気に入ったわ。」

「有難う…ところが気に入られても、楽しいと思う材料がないやろ? お年玉は出て行くばっかりやし、どこに行っても人混みや。」


「おまけに正月料金で高うつくしなぁ…」

「せや…その通りや。」「なっ? そう考えたら楽しい事なんか……」

「在るんや! 大人になったら正月はのんびりするんが楽しみやねん。」

「そう云う大人に、俺は一番なりたく無かったんやないか……」

「しゃ~ない奴っちゃなぁ…それも思いっきり、あんたらしいけどな……一人でコマでも回しといたらええやないか?」


「それがなぁ……5分で飽きたんや。」

「やってきたんかい? 要するに退屈したから来よったな…?……」

「一人では『羽つき』も『カルタ』も出来へんやろ? 福笑いかて……」


「アホっ、もうええ! ええ加減にしときや…めまいがしてきたわ。」「言うとくけどな、うちは付き合われへんからな…せや、アルに頼んで『カルタ』でも『トランプ』でも付き合うてもろたらどうや?」

「あのなぁ…『じゃりんこチエの小鉄』や在るまいし、なんぼアルが賢いと云うてもやで……アル~『トランプ』でええか?」


「…………」


「…今うなづいたら、テレビ出演やったのになぁ……やっぱり『小鉄』は凄いわ。」

「アホっ…『小鉄』はソロバンも出来るんやで、そんな猫が居てたら、うちかて店の手伝いをして欲しいわ。」

「テレビ出演の方が儲かるやろ?」

「……せやな。」「アホっ…せやから『漫画』なんと違うんか?」

「……それもそうやな。」

「ほんまに、昔からずっとや……退屈したらロクな事を考えへん。」


「そうやアル、散歩行こか?」


「 …… 」


「え~っ、うなづいたやんか…」

「うん、これはいつもやねん。」

「いつもやねん…つて、マサ、アルと散歩してるんか?」

「せやで、お前の居て無い時はいつもや。」


「嘘やろ…? ほんまにか?」

「嘘ついてどないするねん…仲良しなんやから当然やろ。」


「え~っ、ちゃんと付いて来るんか?」

「当たり前やないか…散歩やのに。」

「ひもは? 無いわなぁ?」

「当たり前やないか…猫やのに。」


 「行こ……うちもついて行くわ。」




 「なるほど…壁や塀の在るところは、こうやって壁の上を歩くんや。目線が合うもんなぁ………四つ角やで………止まった……マサを見る………方向を確かめて………走って行く……そこで…お~待つんや……凄いやん。マサ…凄過ぎるやんか……うちは感激してるで。」「これこそテレビちゃうんか?」


「アホぅ…たかが散歩やないか。」


「…猫のな………なぁ、交差点とか信号はどうするんや?」

「ここはアブナイって分かるんやろなぁ……そこの信号で分かると思うけど…よう見とけよ。」


「うわっ……嘘やん……」


「なっ。危険を感じたら、こうやってスネにしがみつきよるんや。」

「…犬に会うたら?」

「壁や塀の無いとこやったら、肩の上まで登ってきよるで。」

「知らんかった……こんな凄い事が起きてたなんて…知らんかったわ……」

「大袈裟な奴っちゃなぁ…たかが散歩やって言うてるやないか。」


「猫のな…」「ほんで、マサを見つけたらついて来るんやな?」

「それが、お前の家で誘わんとついて来ぇへんねん…不思議やろ?」

「……全部が不思議やけどな…」「さっきのスネにしがみついてる姿なんか…観た人もビックリせえへんか?」


「びっくり……してるんかなぁ? 銀行では、お客さんと銀行の人まで寄って来てなぁ…大騒ぎになったんや。」


「……そら、騒ぎになるやろ……メチャ可愛らしいやんか。」

「分かるんやけど、騒ぐような事か?」

「その自然体を、アルの奴は気に入ってるんかも分からんな。とにかく、あんた限定なんやろ?」


「いや、そんな事は無さそうやで…実は、コツが在るんや。」

「それを早よ言わんかいな。なぁ教えて……メチャ可愛いやんか…羨ましいわ。」


「うん、その先に犬が居るから……ええか、お前がアルを抱いとくんや。ほんで犬の近くで足元に放したら…スネに飛びつくはずや。柵があるから肩までは登らへんと思うで。」


「ふんふん……ここでええか?」


「よっしゃ……ゆっくり足元に…」


「……痛っ! 痛いやんか~ビックリしたわ~アルの奴…本気で爪を立てるやんか。」

「それでアウトや……残念やったな。」


「マサ…あんた、これを騒がんと我慢してると云うんか?」

「それが唯一のコツなんや…もう完全に慣れたけどな。」


「今のなんか、うちから飛び移ったのに、痛た無いんか?」

「いや、今のも痛かったで……せやけど、慣れてるし覚悟も出来てるからな。」


「ふ~ん、なるほどなぁ……アルにしたら、マサほど居心地のええ相手は居て無いんや……そら、なつくわ…」


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じゃりン子チエっていつから連載開始だったっけ、と調べたら78年からだったんですね。以外と年代が近づいてきましたねえ。

わたしはあのマンガでは、お好み焼きの焼き方を講釈する回が大好きです。あのレシピで一度食べてみたいです。(^_^)

遥か昔、田舎に居たときは
爺さんが建設業をしていて、正月には一族郎党すべて集まっての宴会でした。
楽しかったな~!

ウチのミーちゃん(三毛猫)も首輪なしでの散歩です。
店とマンションは100mぐらい離れているのですが、いつも一人で帰っていましたよ!

孝ちゃんのパパ さん…実は私、今…現在進行形なんです。

毎朝、いつの間にか居着いてしまった雌猫と散歩しています。

近所では「散歩する猫」として結構有名なんですよ。子猫だった頃はまさに物語通りの光景でした。
実は、この部分だけ「現在の話」だったのです。

ポール・ブリッツさん : その通りなんですよ。

物語は現在1979年、まさに『じゃりんこチエ』の人気沸騰中で在りました。
次が最終話となりますが、次回作『うちは夕子や!』が書き直しをしなければいけなくなり、しばらく更新が滞ります。
とりあえずは後1話をお楽しみ下さい。

あ! そうそう!
近所の焼き鳥屋の子がじゃりんこチエみたいということで
一緒にTVのインタビューを受けたことがあります。
その子は、明星のインスタントラーメンのCMに出ていました。
さんまのまんまにも出ましたよ!

孝ちゃんのパパ さん…ほ~ほ~そうですか・・・

なるほど、そういう事が・・・『じゃりんこチエ』については、本当に私の実家周辺の物語で、チエちゃんが通うのは『西萩小学校』と云うのですが実在はしません…ですが実家の住所は西萩町だったのです。

なんと、私の小学校には女優の秋野陽子さんも同級生でしたし、中学校では赤井英和さんが後輩でした。

とうとう次が最終話です。ここまでお付き合い下さって有難うございました。

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