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制服と割烹着(夕子と昌幸・青春篇) 第47話


 「なぁ、お母ちゃん……今でもお父ちゃんの事、大好きやろ? それは普段から見てても分かるねん。」

「な、なにを急に言い出すんや? お刺身と一緒に指まで盛り付けるとこやったやんか。」


「…なぁ、子供の頃からなんべんも聞いてるけどな…元々、男前やったお父ちゃんの制服姿を見て惚れ込んだんやろ?」

「ほんまになんべんも言うてきたやないの…なんやのん今更…?」

「うん…今でも大好きなんはええとしてな、今でも男前やと思てるんか?」

「もう、けったいな子やなぁ……そんなん当たり前やんか。そら、確かにちょっとお腹も出て体型は変りはったけど…あんな男前、見た事ありませんわ。」

「胸張って言うもんなぁ……いつもやったら『痒ぃ~』ってセリフやけど、改めて聞いてみたら…嬉しく聞こえるモンやなぁ……」

「夕子…あんた、昌幸くんとなんか在ったんか? もしかしたら…とうとう……」

「……とうとう…って……何を考えてるんかは知らんけど…うちも、マサが男前に見えてきたんや。」


「そんなん、ずっと前から男前やんか…今まで思うてなかったんかいな?」

「うん、ブサイクとも思うた事は無いけど、正直…男前とも思うて無かったんや。」

「冗談やと思うてましたけど…夕子だけの評価が低いって、ほんまでしたんか?」

「どうなんかなぁ…なんて言うんか、マサより『カッコええ子』も『性格のええ子』も見た事が無いのは絶対的な事実なんやで。」

「当たり前やろねぇ…私も、お父さんかてそう思うてますから。」


「実はうちも、あいつの事がちいさい頃から…ずっと好きやったんかも知れへんなぁ。」


「あのなぁ……そんな事、この辺の人やったらみんなが知ってる事やんか。」「あんただけが厭がってるフリをしてた事まで、みんなが知ってますんやで? あんた自身かて分かってますやろ?」


「せやなぁ……うちだけが、ホンマは嬉しいくせに…って事やったんかもなぁ?」

「それを今になって気が付いたって言う話を……夕子はしたいんか?」


「……結論はそうなるんかなぁ? とにかくあいつ…男前やったんや。アホもだいぶマシになったやろ? 気が付いたら悪いところが見当たらんように成ってしもたんや。」


「私が聞いてて『痒ぃ~』と思えてきましたわ…まだまだノロケ話は続きますんか?」


「堪忍やで…うちがノロケるって可笑しいもんなぁ……せやけど、マサのお陰で色んな事に気が付いてきたんや。」

「なるほどね。それを昌幸くん本人には…ちょっと言い難いやろしなぁ、私で良かったら聞いたげるで。」


「うん。うち思うんや、うちにもマサにも…他に幸せになれる相手が、実は居てるかも知れへんやろ? せやけど、あいつで無いとアカン理由は、あいつほど…うちを好きになってくれる相手が居て無いからなんや。」


「その通りやで……ええか、昌幸くんが、あんたに怒られても、エライ目に合わされても、あんたの事がずっと好きで居てくれたんは……夕子あんたが、あの子事を好きやと気付いてたからやで。」


「せやねん、うちもそれに気が付いたんや。」「人って好きな相手に好かれる事で、更にもっと相手を好きになれるって事がな……やっと…やっと恥ずかしがらんと、素直に感じられるようになったんや。」


「ほら、それを昌幸くんに言うてあげんと……どんなに喜んでくれると思うんや?」

「そんなん出来る分け無いやんか……恥かしいて……」


「…ほんまに、この子は……昌幸くんは夕子の喜ぶ事を素直に言うてくれますやろ? 違うんですか?」

「せやねん、お母ちゃんの言う通りや。マサの奴…ほんまに、こっちが恥ずかしなるような事を素直に言いよるねん。」


「それも子供の頃からずっとやんか…ほんまに素直でええ子やで。」

「うん、おまけに最近は信念をもってるんやろなぁ…堂々としてカッコええんや。」

「…ハイハイ……そろそろ、ホンマにええ加減にしとかんと……今日はその男前が来るんと違いますんか?」


「せやねん、予定では、そっちの男前と一緒に来るはずなんやで。」

「うふっ…なんか嬉しい気がするやんか……厭やわ~」「ほれ夕子、暖簾出してや~」




 「…あっ、森川さん今晩は…今日は一人ですか?」

「せや…今のところはな。今日あたり、北さんと山ちゃんが来る頃やと思うてな。」


「なるほど…せやけど時間的に来る頃とは違いますやんか。今から飲んでたら、北村さん達が来るまでに、出来あがってしまうんとちゃいますか?」

「アホぅ…年は取っても30分では酔わへんわ。それよりサブちゃん、ちょっとママと若女将のしつけが成って無いど。」

「えっ、なんか在りましたんか?」


「なんもかんも在るかいな…2人共、わしの顔みるなり『なんや、森川のおっちゃんか』って言いよったんやで…『責任者出て来い』ちゅうんや。」「ママとは話が付いてるからな…お前らを待っとたらしいんやけど…ええか? 1杯目はサブ、2杯目は昌幸のおごりやからな。」


「…なんで、俺らのおごりになるんや? 普通は店のおごりになるんと違うんか?」


  「不思議やろ? あんたらが男前やからや。」


  「…あっ……どうぞ若女将も飲んで下さい。」


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