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制服と割烹着(夕子と昌幸・青春篇) 第46話


 「お~い、朝からアルが起こしに来よったから、ついでに連れて来たったど。」

「なぁ、マサ…アルの奴、あんたになついてるんは分かってるけど、あんたの家でエサまでもろてるんと違うか?」

「いや~どうやろ…俺が居てる時は、今日みたいに上に乗って来よる事も在るから、こうやって連れて来たんやけどな。」

「やっぱり、エサの話はおばちゃんに聞かんと分からんか……」

「なんや、エサをやったら具合悪いんか?」

「そんな事はあらへんけど、ただこの頃、時々食欲が無い事が在るねん。せやけど調子が悪いどころかメチャ元気やし、どこかで食べてるに違い無いんや。」

「なるほど、そら確かにお母んで無いと分からへんわ。」「気になるようやから、ちょっと待っとくんやったら聞いてきたるで?」

「せやねん、マサとこで無かったら、それはそれで問題やしなぁ…ゴメンやけど頼むわ。」



 「安心せえ、当たり前のように、お母んやったわ。せやけど、無理にやってる訳や無さそうやで。」「アルの方から『おねだり』をして来た時だけ、夕子が忙しいて『おあずけ』されてると読んでの事らしいわ。」

「そうか…アル~お前、実に世渡り上手なネコやったんやなぁ? お店にペットを入れる分けにもいかへんからな……マサのおばちゃんやった気も使わへんし、好きなだけご馳走になってきたらええんやで。」


「お、おい今…こいつ…うなづけへんかったか? 絶対そう見えたど……」


「アホっ、理由は分からんけど、たまたまに決まってるやないか。」

「そうやろか。タイミングが抜群やったからな…絶対そう見えたんやけど…?」

「あんたの何でも面白い方に取る性格…嫌いや無いで、そう思うてたらええやんか。」

「…まぁ、それはそうかも知れんけど……こいつ、妙に頭のええとこが在るからな。」

「確かに…『間』というかタイミングは心得てるわなぁ……さすがに大阪の猫だけの事は在るやないか。」


「えっ…結論はそれかいな?」

「大阪は猫までおもろい…って、ええ感じやと思わへんか? 思うやろ?」


「思う…ええ感じや。」「アル~お前は大阪の猫やから、ひょうきん者らしいで。」「そう言うたら、名前までひょうきんやもんなぁ…え~っと…『アルフォンヌ・スタインベック・シュッツトガルト3世』か…知ってるから読めるけど…………なぁ、夕子?」

「うん、ど~したんや?」

「いや、この迷子札のプレートって、知らんかったら勿論読めんと思うけど、先生やおばちゃんは読めるんか?」

「それって、大きな声では喋らん方がええ話とちゃうんか? まさか…名前くらい2人とも知ってるからな。」

「あっ…いや~うちのお母んも最近……離せば分かるって歳みたいでなぁ…」

「そうやなぁ、お父ちゃんはそうでも無いんやけどな、お母ちゃんが本や雑誌を読む時には老眼鏡が無いと苦しいみたいや…元々眼が良かったせいも在るらしいけどな。」

「お母んもそう言うとったなぁ…それに親父も若い時から近視でメガネは掛けてるけど、そろそろ遠近両用が必要になってきたような事を言うとったわ。」

「う~ん、みんな、まだまだ老け込む歳でも無いけどなぁ……聞いた事は無いけど、その迷子札は確かにキツイかも知れへんわ。」


「せやろ? これはホンマに細かいからな、老眼の人にはつらいモンが在ると思うで。」

「せやけど…なぁ、お母ちゃんの前で、老眼の話はご法度やからな。覚えときや。」

「な、なんか、怖そうやなぁ?」

「うちが…ビビるくらいやからな。」

「……これは口が滑らんように気を付ける必要が在りそうやな。」

「まぁ、難しゅう考える事はあらへん…見ても知らん顔しとったらええんや。」

「そうは言うても、俺は今まで、おばちゃんがメガネを掛けてる姿も見た事が無いからな……今後、見た時には気を付けるわ。」

「そうしてあげて…あんたとか、若い人に言われるんが一番こたえるみたいやから。」

「それが、若さの秘訣なんやろ。老眼とかには逆らわれへんだけで……気持ちを持ってる事が大切なんやと思うで。」


「分かったような事言うやないか?」

「……分かってるんや。ええか、オリンピックに行くんやと云う気持ちが無かったら、キツイ練習には耐えられへん……それを更に支えてるんが、夕子…お前や。」


「あ……アホっ、急に何を言いだすんや……嬉しいけど、妙に恥ずかしいやないか?」

「別に、どうと云う理由は無いんやで…いよいよ近づいて来たからな、絶えず自分の気持ちを駆り立てて維持する必要が在るんや。」


「…そうか……まぁ…『頑張りや』としか言いようが無いけどな……」

「それで十分や。誰に言うより、お前に言う事が…俺には大切なんやから。」

「それで、気持ちは駆り立てられるんか?」

「なによりも効くんや。」

「維持も出来るんか?」

「利子まで付くんや。」

「そんな…マサ……嬉しいやんか…………」


「……………………」

「……ここから先は……おあずけや……」

「…う…うん…分かってる……まかしとけ。」「ええか、俺は…どんな事が在っても、金色の土産を持って帰えって来る……ほんで、この土産は…夕子、お前のモンなんや。俺はなぁ……俺の人生の目標は金メダルなんかより、もっと輝いてるんや。」


「…あ、アホっ………アホやけど……なぁ、アル~お前も応援したってや、頼むで。」


「 … … 」


「…ほ、ほら……今のは完全やったやろ? 2回やで、2回うなづいたやんか……」

「…うん……うちも見た…確かに2回…」


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ああ~いい~な~この幸せ者ども!(*^^*)

わたしはそういう青春とは無縁だったものでもうひがみっぽくってひがみっぽくって(笑)

続きが楽しみです(^^)

ポール・ブリッツさん : 私も書いていて・・・

はい、私も書いていてそう思います……ちょっと作者としてもマサを甘やかし過ぎたかも知れませんね。

でも・・・まだまだ お楽しみはこれからです。

行って来ま~~~~~す

大門先生、行ってらっしゃい。

大門先生、行ってらっしゃい。
体調に留意して頑張って下さい。

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