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制服と割烹着(夕子と昌幸・青春篇) 第44話


 「夕子、お父さん知らんか?」

「いや、知らんけど…うちのカンではパチンコやと思うで。」

「なんでそう思うんかは知りませんけど、お父さん、この頃パチンコなんか行ってませんのやけどなぁ。」

「それは、うちも知ってる。せやけど、そこに在る雑誌を熱心に読みながら『おい夕子、俺って獅子座やったよなぁ?』って聞いたんや。それが何を意味するかは、お母ちゃんでも『ピン』と来るやろ?」

「ええ事が書いて在ったと言うんですか?この雑誌ですやろ…婦人誌でっせ?」

「運勢に婦人誌もなんも在ったモンや無いやろ? 声が弾んどったから…金運か、飲みに行ったらモテるとかな…そんなとこしか無いと思うで。」


「…夕子はこれ読んでませんのか?」

「読む分けないやんか。うちには芸能人のスキャンダルも運勢も、全く興味ないんやから…鑑識呼んでも指紋も出ぇへんはずや。」


「そうですなぁ…せやけど、まるで読んだとしか思えんほど、夕子の言う通りですわ。」

「ほんまに? なんて書いて在るんや?」

「運気最高週間万事良。金運ギャンブル運・大吉。恋愛運・酒席にて大吉…あのおっさん、本気やな…」


「二兎追う者や心配いらんわ。」

「えっ、どう云う事やのん?」

「これもうちのカンやけどな…お父ちゃん、小遣い制に成ってから、お金には不自由してるやろ? せやからパチンコで資金を稼いでから飲みに行くつもりなんや。」

「ふんふん…太陽は西から昇る事は無いと、夕子は言いたいんやね?」

「もちろんや。うちの知ってるだけでも、お父ちゃんの連敗記録は現在『19』かそれ以上のはずや…おまけに、よこしまな事を考えてる時ほど勝負弱いんもお父ちゃんの特色やんか…絶対に心配いらんわ。」

「夕子はよっぽどの自信が在るんか、お父さんの負けを確信してるようですなぁ?」

「当たり前やんか…それこそ賭けてもかめへんで。」

「アホな事言わんといて。私かて、賭けるとしたら『負ける』方にしか賭けるはず無いやないの。」

「なるほど不成立か…よっしゃ、負け方まで予想したるわ。お母ちゃんでも、フィーバーって聞いた事あるやろ?」

「そらまぁ、世間でこれだけ騒ぎに成ってますよってなぁ…ときたまやけど『フィーバー当てたから来た』ってお客さんも居てはるくらいやから。」

「こないだの木村さんやな?」「でも、それって喜んでられへんのやで…負けたから飲まれへん事の方が多いんやから。」

「これまた、パチンコなんかした事も無い私にでも納得出来る話ですなぁ。」

「せやろ。ほんで時代はもう、開けチューリップからフィーバーに変ったらしいんや。うちも詳しい事は知らんけど、のんびりした遊びから短期決戦になったみたいやで。」


「ふ~ん…ほんで、お父さんはどんな負け方しはるって言うんや?」

「うん、気が付いたら居て無かったから、おそらくは開店時間の10時に合して出て行ったはずや…今で1時間ちょっとやろ? この時点で帰って来て無いと云う事は、あの中途半端な運で1回当たりよったと思うねん。」

「ほな、お父さん…今日は勝ってはるって云う事かいな?」

「現時点ではな…なぁ、お母ちゃん何年、お父ちゃんと暮らしてるんや? この中途半端な運が、傷口を結果的に広げる事になるんやんか。」


「…言いたい事は分かりますわ…ほんで?」

「ええ気に成って…『よっしゃ~もう1発』から『よしよし、ここがスタートと思たらええんや』に変って『さっきも、このくらいで当たったんや…よし今度当たったら帰るで』になって『おかしいな…そろそろ当たらんと、当たってもチャラやないか』となって来て……『えらいこっちゃ、素直に飲みに行っとたら良かったやんけ』と、ここまで来たら最後は『やってもうた~』と玉砕するんや。」


「まるで見て来たような、リアルな負けっぷりでしたなぁ…これはお父さんが帰って来るのが楽しみですわ。」「帰る時間までは予想出来ませんのんか?」


「う~ん、そうやなぁ、1時半を過ぎた頃には帰って来るはずや。」「ほんでおそらく第一声は…『あ~腹減った、昼飯あるんか?』これしか無いと、うちは思うで。」

「うわ~っ、早よう時計を進めたいわ。なぁ夕子の予想が当たるとして、お父さんのお昼御飯はどないします?」

「せやなぁ、予想は当たると思うけど、作って置いてやらんと仕方がないやろなぁ。」

「夕子、あんたの予定はどうでしたんや? 昌幸くんの都合も在るんとちゃうの?」

「マサと昼を食べに行く約束やったんや。けどこの展開では、1時半には家に居らんと仕方ないやんか…野口のお好み焼しか無さそうやな…お母ちゃんは?」

「家を空ける分けにもいかんのですけど…お父さんのお昼を用意してから、私もあんたらに付き合うてもかまへんやろか?」

「ええやんか…それが正解やと思うで、早よう今から段取りしぃや。マサにすぐ来るように電話しとくわ。」

「はいな、ほな早速…」


 「ほらな、まだ帰って無いやろ?」

「ここまでは夕子の予想通りやけど、問題は、後20分で帰って来るかどうかですなぁ。」

「いや…おばちゃん、こんな時の夕子予想は外れた事が無いから、俺は期待しても大丈夫やと思いますよ。」

「あんたが言うと説得力在るわ~昌幸くんも夕子にはかなりやられて来たもんねぇ。」

「そら、20年以上びっしりと…」

「高い確率で生涯続くかも知れんけど、うちから断っといたろか?」

「…いや是非、お願いしといて下さい。」



 「あ~腹減った、昼飯あるんか?」

「うっ……」

「ぐっ…クッ……」

「なんや夕子も昌幸も唇なんか噛んで?」

「昼御飯も忘れるぐらい、朝からどこに行ってましたんや?」

「いや~うん…久しぶりにパチンコや。」

「なぁ、ええ運勢が一週間も続くっておかしいと思わへんかったんですか?」

「…うっ…それは…あれやないか…」

「あれがどないしたんや? 1回当たったとこで帰って来たら良かったですなぁ?」

「えっ…な、なんで……」

「素直に、可愛らしいお姉ちゃんの居てるお店に飲みに行っといたら良かったと…気づいた時には手遅れでしたなぁ?」

「…ちょっ…ちょっと…待って…」


「ちょっと待っても『やってもうた~』もんはどないもなりませんやんか?」「おまけに連敗記録もキリのええ『20』に到達したんと違うんですか?」

「…う~~っ…せやねん。なぁ…そこまで分かってるんやったら…なんとか…」


「禁煙に成功しといてホンマ良かったですなぁ…後は今月一杯、お酒を辛抱するだけですやんか…頑張りや!」


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非公開コメント

めっちゃ嬉しいです!

おはようございます!
あすなひろし先生の話、いやあ、ホント嬉しいです!

弘さんの物語が人をひきつける根底にあるものがわかったような気がします。

いいものはいい。語り継いでいきたいです!

あ、弘さんの物語、語り継ぎますから益々期待しちゃいますよ!
と、めっちゃプレッシャーをかけてみました(笑)!

ではまたです!

おっと・・・ホンマ プレッシャーや・・・

Omunao さん、ホンマにプレッシャーやんか・・・

この「制服と割烹着」もいよいよ大詰めで、あと数話で完結します。予定では「うちは夕子や!」と云う子供時代に戻って、夕子が出っぱなしの物語を書いているのですが、ちょっと問題が見つかり苦しんでいます・・・とにかく「制服と割烹着」完結まで、夕子と昌幸を応援してやって下さい。

弘と書いてひろむと読みます sann

自分は、パチンコは 卒業し10年 タバコ も・・7年・
アルコールは 2年前から舞い戻り・・・

そんな 日々 は、ボケ防止「の日々・・・PCで

しろさん、コメント有難うございます。

私もパチンコは最近は全くしなくなりました。

煙草もやめて4年になりますね・・・アルコール? 365日 欠かさず消化器系を消毒しております。

今後ともよろしくお願いいたします。

ありますね

おはようございます。
  それは、そうやけど…
  お前の先制攻撃に…
    笑ってしまいました。
    判ります。ありますね。これ。 ごろぉ

Re: ありますね

> おはようございます。
>   それは、そうやけど…
>   お前の先制攻撃に…
>     笑ってしまいました。
>     判ります。ありますね。これ。 ごろぉ


ごろぉさん:とても嬉しいです…コメント有難うございました。
ど~しても3日に1度くらいしか更新できない私にとって かじがやごろぉ さんのスピードには驚きと羨ましさを感じております。
残り数話で完結致しますが、最後までよろしくお願いいたします。

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