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制服と割烹着(夕子と昌幸・青春篇) 第33話


 「困ったなぁ………」

「お母ちゃん…お父ちゃんが何か困ってはるけど、あれはお母ちゃんに助けを求めてる言い方やで。」

「放っといたらよろしい…朝からずっと困ってはるんや。あんたも昌幸くんが困ってる時は、子供の頃からロクな事が無かったやろ?この手の男の共通点や。」

「あいつの場合は、喜んでる時もロクな事が無かったけどな。」「ほな、うちは放っといたらええんやな?」

「薄情な娘やで。困ったもんや……」

「全然、無視して放っといて。」

「よっしゃ分かった。ちょっと用が在って店に行くけど、お母ちゃん…なんかついでが在るんやったら言うてや。」

「店に用事は在りませんけど、買い物に行くんやったら、カツオ節と昆布を頼みますわ。」

「それやったら、昼にマサと御飯食べに行ったついでに買うてくるわ。」

「はい、それで頼みます。明日の開店に間に合うたらええのやから。」

「ほな、お父ちゃんゴメンやで、うちは力になられへんわ。」「まぁ、用が在って出かけるんやけど、その間にマサが来たら、慰めてもろたらええやんか。ことによっては助けてくれるかも知れへんで。」


「昌幸が来るんか?」

「夕子、ちょっと待ち!」「あんた、しょうも無い事考えとったらあきませんで。」「昌幸くんやったらきっと助けるはずやから、夕子から『絶対アカン』と釘を刺しといてや。」

「怖い嫁やで、困ったなぁ……」

「お父ちゃん…何をしたんや?」「マサが助けられる事って…また性懲りも無く、小遣い使い果たしたんか?」


「頭のええ娘や、困ったなぁ……」

「アホっ! あんたが困った奴なんや。」「弱いんやから麻雀で負けるんは珍し無いけど、もっと弱いパチンコで取り返せるはずが無いやろ。『天下無敵の無一文や』と言うて泣きついてきたんやけど…今月一杯は何が在っても許さへん事に決めたんや。整骨院の帳簿もきっちり調べるよって覚えときや。」


「あっ、それはしゃ~ないわ。」「敵に回すとしたら、お父ちゃんか、うちとお母ちゃんの連合軍か…好きな方を選ぶように、きっちりマサに伝えとくわ。」

「麻雀もパチンコも、お前らも…みんな嫌いや。昌幸はたった一人の味方やのに…ほんまに、困ったもんや………」

「アホっ、一週間ほどの辛抱やないか…これに懲りて考え方を改めるんやで。」

「お父ちゃん、観念するしか無いやんか…ほな、うち行ってくるし……」



 「まぁ先生、月末までの飲代は俺が持ちますやんか…後は、これを機会に煙草をやめたらどうですか?」

「お前、簡単に言うけどなぁ…禁煙って何回やっても失敗するほど難しいんやで。」

「せやから、吸いたくても吸えないんやから…『仕方が無い、これはチャンスや』と考えたらええやないですか。」

「ほんまに簡単に言うなぁ…そら、お前は酒も煙草もギャンブルもせえへんから言えるんや。煙草代もくれへんって、ちょっとひどいいやないか………」

「確かに酒は飲まないと言うてもええ量ですけどね…せやけど、禁煙が難しいのも分かるつもりですよ。俺に子供の頃から『体の為や、煙草は一度覚えたらやめ難い。初めから手を出すな』と言うてたのも先生やから。俺はそれを忠実に守っただけですやんか。」

「せやな、お前は懸命やった。確かに1週間…吸いたくても吸えんとなると、やめられそうな気もするなぁ。」「何回も失敗したけど、もう一回頑張ってみる事にするわ。」

「それそれ…周りに吸う人間が居て無いんやから、それが応援になると思いますよ。」

「うん、確かにそうや…店以外はな。」



 「マサ、お父ちゃんの話を聞いたから、早めに来て慰めてくれてるんやな?」

「うん、禁煙の決意まで固めてもろたから、みんなで応援するんやど。」

「えっ、ほんまか…って、お母ちゃん、煙草代まで取り上げかいな? 自業自得とは云え厳しいやんか。」

「可哀そうやろ? 困ってるんや…」

「あんたは黙っとき。」「それぐらいせんと、懲りるちゅう事を知らん人やから…これで禁煙に成功したら、怪我の功名や、昌幸くんに感謝するんやで。」「夕子はもう、用事は終わりましたんか?」

「それなんやけど…うちも、お母ちゃんに怒られんとアカンねん。ちょっと引っ掛けて、花瓶を割ってしもうたんや。」

「あれまぁ、ほんで怪我なんかしませんでしたんか?」

「いや、ただ割れただけやから……」

「ほんなら、かまへんやないの。そんなにええ物やないけど、押し入れに、二つほど代わりが在りますわ。」

「ほんま?ほんなら、それを持って行くわ。」「なぁ、押し入れのどこ?」

「たしか、アルバムとか積んでる奥ですわ。」


 「ああ、これやなぁ…在ったけど、お母ちゃんヘソクリでもしてるんとちゃうか? なんか入ってるで…」


 「…昌幸、逃げるぞ………」

「えっ先生、急になにを…?」

「つべこべ言うな、一刻を争うんや。」

「先生…まさか………」

「その、まさかや…いくでダッシュや!」


 「ちょっと待ち! 二人とも動きな!」

「いやん………」

「この前の『昌幸、有難う』が、これやったんやな…怪しいとは思うてたけど、物的証拠が見つかってしもうたなぁ…法の裁きちゅうもんを教えたるええ機会やで。」「元警察官の方はお母ちゃんに身柄を引き渡すよって、面倒見たってや。」

「私は、今更そんなん…どうでもよろしい。けど、とにかく禁煙が成功したと確認できるまで、小遣い無しは確実ですわ。」

「何が在っても、今月中にやめんとアカンやないか…困った事になってしもたわ。」

「お父ちゃん、おめでとう…禁煙成功は確実みたいやな。」「…さてと…ほな、現役の警官は、その読めもせん英語の雑誌を持って、うちの部屋までついておいで。」


「…困ったなぁ………」


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非公開コメント

見つかるまで2話とは持ちこたえたほうだと思う(笑)

ポール・ブリッツさん、いつも有難うございます。

持ちこたえた方ですよね・・・確かにそうかも知れないと思います。
物語は中盤を過ぎて後半へと差し掛かっています…今後ともよろしくお願いいたします。

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