FC2ブログ

制服と割烹着(夕子と昌幸・青春篇)  第25話

「夕子、お客さんには大人気の、あの一口素麺やけどな…あんたの言う通り、去年の夏だけにしといたら良かったなぁ…。」

「言いたい事は判るけど、もう遅いわ…今はほとんどのお客さんが注文しはるのに…『なんか物足らん、もうちょっと食べたい』 と言うお客さんを狙うたんは…大正解やった…でも、儲からん訳やないけど、手間と忙しいのを考えたら…割が合わへんわ。」

「確かに…いまさら遅いのも、割りが合わへんのも……どっちもその通りですわ……。」                           「夕子らのお陰で、昼時のお客さんは若い人がほとんどやから、まさに『もうちょっと食べたい』は…的を射てましたなぁ。」

「学校も卒業したし…これからは、益々やってみたいアイデアも在るんやけど……。」                             「これ以上忙しく成るのは…ちょっと…いくらなんでも、二人では大変過ぎるわ~~。」

「今は、夕子が作った料理が…味付けも含めて人気なんやし、若い人が喜ぶようなモンをどんどん試したらええですやんか…。」  「それでほんまに、手が回らん時には…誰かアルバイトでも考えたら宜しいやんか。」

「お母ちゃんも…元はアルバイトから始めた訳やもんなぁ……。」                                       「けどお母ちゃん、一番の看板料理は『洋子の土手焼き』やで…これはお母ちゃんが生きてる間は…永遠に変わらへんと思うで。」

  「それは、長生きせんとあきませんなぁ…。」

 「聞こえてたで、まだまだ長生きしてや……隠居には早すぎるからな。」

 「ええタイミングで来るやんか。 北村さんは、お母ちゃんのファンかも知れへんけど…山本さんは、うちのファンやろ…?」

「いやいや、俺は森川さんに初めて連れて来てもろて、ママに一目惚れして以来…ママ一筋や…浮気なんかせえへんで。」

 「山ちゃんはそうやろな。 俺は、もう何年も前から…若女将にぞっこんやで……え~っと、ビールと土手焼き二つや。」

   「俺は、プラス…唐揚げ大盛りで。」

  「なっ、【唐揚げの大盛り】…そうやろ?」                                                     「普段の注文から考えて言うてるのに、うちの予想は逆やった訳かいな?なんか、山本さんには…裏切られた気分やわ。」

 「え~裏切ったりなんかしてへんで。 一番はママやと云うだけで…二番は、若女将の単独指名やのに。」

 「そら、二人しか居て無いんやからな……もうええ、山本さんに…こっそりサービスするんも…もう終わりや。」

  「おい山ちゃん、そんな事してもうといて、ママに投票しとったら選挙違反どころか…詐欺やないか…?」

  「北さん、ちょっと待って下さいよ。 若女将も…そんなデタラメ言うたらアカンやんか。」

   「それこそ冗談やんか。ちょうど、献立の話をしてる最中やったんや。」

  「ほう、ほんならまた…新しい献立が増えるんかいな…?それは楽しみや。」

 「いや、それはまだ…アイデアは色々在るんやけど… こう見えて忙しいんやで。」

「それは、よう判る。 森川さんに次いで俺の定年も…そろそろ近いけどな… 確かに、お客さん全体が若返ったわ。」           「若女将や昌幸の後輩も…最近は飲める歳になって、来てくれたりしてるそうやないか…。」

「まだまだ数は少ないけど、少しずつ増えてきたわ…マサは特別やけど、不思議なもんで…女の子の方がお酒に強いんやで。」

  「平均で言うたらアカンで…… 若女将一人で…平均が上がってしまうからなぁ…。」

 「あのなぁ、オイルショックで、トイレットペーパーが無くなったんと同じくらい…訳の判らん事言うのはやめてや。」

  「ほんまに、あれは何やったんやろな…?俺も未だに判らんわ。」「けど、おもろいやないか…使わせてもらうで。」

 「そのおもろい話のお礼に、俺が北さんに変って…酒豪に一杯奢らせてもらいますわ…若女将なにがええんや…?」

  「いや~嬉しいやんか。 一番好きな、ウィスキーにさせてもらうわ。」

  「山ちゃん、ほんまは裏切った…穴埋めとちゃうやろな…?」

  「北さん、せやからそれは……あっ……昌幸…こっちへおいでや…。」

  「今晩は、今日は…ええメンバーの処へ来ましたわ。」

  「今、若女将に一杯進めたところや……昌幸のビールも奢らせてもらうわ。」

   「えっ、そんな事してもろても…ええんですか…?」

 「誰も、飯を奢るとは言うてへん……お前の場合、ビールやったら…1本で済むやないか…。」

 「それはその通りやな…けど、マサあんた…来る予定や無かったのに、どないしたん…?」

「いや、お母んが出かけとって…飯が無かったもんやから…【いづみや】を覗いたけど、閉店前で何にも残って無かったんや。」

  「マサ、あんた今…『いづみや』って言うたやろ…?」

  「えっ、言うたけど…どないしたんや…?」

  「ええか、今は【イズミヤ】とカタカナで書く上に…『づ』が『ズ』に変ったんやで…。」

 「ほ、ほんまか……って、なんで判ったんや……『づ』でも『ズ』でも…判るわけが無いやろ…?」

  「ほな、知ってたんか…?」

  「いや、それは正直知らんかったけど……。」

  「あんたの事は…なんでも判るんや。」

 「い、いや…それでも…今のはアカンやろ… 喋ってるのに、ひらがなもカタカナも…判るはずが無いやないか…?」

   「不思議か…?……超能力や。」

    「………怖っ。」

スポンサーサイト



コメント

愛だよ……愛。ちくしょうこのシアワセモノメ(^_^;)

ポール・ブリッツさん、いつも有難うございます。

愛ですか…愛ですね~。
こいつがこれからも、どんどん幸せになって…行きそう……なんです……?!
非公開コメント